教育福島0083号(1983年(S58)08月)-013page
学習集団は、温かな人間関係で結ばれていなければならない。しかし、単なる仲よしグループにとどまっていてはいけない。
誤りを誤りとしてきびしく指摘し合い、あるときは激しく論じ合う。しかし、それは、相手を攻撃するのではなく、正しいものを求め、相手の成長を願うやさしい心の発露でありたい。
このような、きびしさとやさしざが共存する学習集団づくりを心がけたいものである。
○よい授業を支える学習環境づくり
学習活動の質を高めるために、次のような環境づくりを期待したい。
○好ましい人間関係によって支えられ
楽しく落ちついて生活できる環境
○学習意欲に応じて、必要なものを環
境から取り出し、あるいは、環境に
働きかけて学習活動を一層充実させ
ることのできる環境
○児童生徒の変容に応じて、毎日変化し、進展している環境
(三) 評価と授業の改善
ここ数年来、形成的評価、達成度評価、総括評価等々新しい評価理念に支えられた多様な評価が行われるようになった。しかし、実際には、まだまだ多くの問題を抱えている。
1 評価方法の明示と評価尺度の設定
授業案の中に「……できたか」という形の評価の観点が示されることが多くなっているが、どのようにして評価するのか、その方法まで明示されているものは意外に少ない。
ノートによる、チェックリストによる、感想を書かせる……など、明確にしておかなければならない。また、どの程度の高まりを見せたときに「できた」とするのか、その尺度をあらかじめ設定しておく必要がある。
さらに、評価を教師だけのものとしないで、児童生徒自身による、いわゆる自己評価や相互評価も取り入れるようにしたい。
2 評価結果の活用
いろいろ工夫して行った評価結果が児童生徒の学習や授業の改善に生かされなくては、評価のための評価に終わってしまうことになる。
○どこで、どうフィードバックさせるか
○個別指導の手をどう加えるか
○教師の反省点は何か
などの視点から分析し考察して、授業の展開に具体的に生かす努力が大切である。また、評価では、問題点をとらえるだけではなく、児童生徒の優れている点もとらえて、それを伸ばすことにも配慮したいものである。
(四) 授業と教師
古来「教育は人なり」といわれているように「よい授業」「わかる授業」の実現には、教師自身による創意を生かした意欲的な指導が重要である。
教師は、常に、教育理念の追求や教材研究、指導技術の向上等に努めなければならない。また、児童生徒を深く理解し、児童生徒から信頼される教師であることがとくに望まれている。
信頼される教師であるためには、一つには「教育愛とその表現」である。とくに、次のような姿でありたい。
○児童生徒の人格を尊重し、公平な態度で接する教師
○すべての児童生徒の長所を積極的に育てようとする教師
○児童生徒との心の触れ合いを大切にする教師
○一人一人の児童生徒の「ものの見方、考え方、感じ方」を大切にする教師○自分自身の資質の向上に努める教師
このような努力によって、教師の児童生徒に対する純粋で普遍的な愛情が児童生徒に伝わることを願っている。
信頼される教師であるための二つ目は、「誠実な生き方」である。教師の「生き方」そのものが、強力な指導力であり、授業における児童生徒の学習意欲を駆り立てる大きな要因である。
四 道徳教育の充実
本年五月に実施した「公立小中学校における道徳教育の実施状況調査」を集計すると、計画立案や指導時数の面では望ましい状況にある。しかし、実施内容面について分析すると、いくつかの問題点が指摘できる。各学校において、今後改善、充実を図っていく事項について述べる。
(一) 全教育活動を通して行う道徳教育
前年度において学校の教育活動全体を通じての道徳教育が、おおむね全教師の共通理解の下に適切に行われた、と回答した学校は、小学校で八十八%、中学校で六十六%となっている。
学校における道徳教育は、全ての教
実施状況調査の集計結果抜粋(昭和58年5月調査)