教育福島0083号(1983年(S58)08月)-014page

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育活動の中で行うことが基本であり、全体計画が作成されている、というだけでは不十分で、全職員の共通理解によって計画的に実践されるものにしていかなければならない。

1) 全体計画の作成過程を全職員で理解し、自校の道徳教育上の問題点と解決のための指導方針を明らかにしておく。

「調査」2、3の数値にみられるように全体計画の作成過程を問題にしなければならない。人間尊重の精神を基調として、一人一人の児童生徒を大切に育てるという姿勢と着実な実践活動が望まれる。

特にその際、次の事項に留意しておくことが大切である。

ア 各学年の主な指導内容を他学年と関連をもたせて把握すること

イ 各教科の指導場面における道徳教育の機能を発揮させること

ウ 特別活動の指導場面で、児童生徒の実践活動を豊かにすること

エ 教育課程外の教育活動の場面でも教師と児童生徒と人間的な触れ合いの機会を多くもっこと

オ 学校環境の整備に力を入れること

カ 家庭及び地域社会との連携協力を図るため、通信の発行、参観日の運営、懇談会の開催等に努力すること

2) 道徳的実践の指導が適切に行われるように計画し、全教師の責任下で行う。

道徳的実践は、人間がよりよく生きょうとする努力の結果として、主体的な生活の中で実現されるものである。

基本的な行動様式をはじめとする道徳的実践の指導は、各学校において、"望ましい生活習慣"とか"生活のきまり"などを児童生徒に示し日常の生活指導の充実策として実施されている。

しかし、月の目標とか週目標の名で実践目標を決めて指導する方法が長年の学校の慣行に流された指導であったり、道徳的な価値がその人柄にまで結びつき、それぞれの人格にまで高められていかないのも現状である。

道徳的実践の指導が、学校生活のあらゆる場と時間において、道徳的な判断力を高め一道徳的心情を豊かにし、実践意欲を高めるものとして徹底するため、次の事項に留意することが大切である。

ア 目標は抽象的な価値項目の提示ではなく、実践可能な具体性を持った行動的な示し方をする。

イ 実践目標の提示は重点的なものに限定し、全校の児童生徒に指導する。

ウ 指導に当たる全職員が一貫した指導方針の下に行い、児童生徒の自治的な活動と混同しないで、教師の責任をもって行う。

 

(二) 「道徳の時間」の指導

 

週一時間の道徳の時間は「調査5」に示したような状況である。この時間は、長期にわたり意図的、計画的な指導という特質をもつものであるから、年間あるいは学年のどこかの特定の時間だけが効果的であったとしても、その成果が積み上げられなければ、道徳の時間として充実したものとはいえない。

道徳の時間の指導を充実させるために、「調査」の中から改善を図っていく必要のあるものを挙げてみる。

1) 道徳の時間の計画性を発揮するためには、全体計画→学年別の道徳年間指導計画→一時間ごとの道徳の指導が一貫性を持ち、全校的に実施することが必要である。

2) 年間指導計画が次の項目を具備したもので、しかも資料が容易に各学級で用いられるように整理されているかどうか検討し改善する

○主題名と時数、指導の時期

○主題ごとの指導のねらい

○中心資料(読み物、視聴覚教材など)

○展開の大要(三、四の基本的な発問を例示したもの)

したがって、「調査4」のイ程度のものでは年間指導計画としては不十分である。

3) 資料活用の方法を研究するとともに、多方面から資料を収集し、学校としての保管、活用に工夫をこらす「調査6」に見られるように、読み物資料と視聴覚資料が多い。これらの利用に当たっては、次の事項に留意することが大切である。

ア 読み物(副読本等)利用上の留意点

○読み物の特質を生かし、ねらいを達成するため、教師は事前に十分読みこなし、価値に気付かせる発問を準備する。

○指導過程を構想し、読み物資料の位置づけと、児童生徒の反応について予想する

○単なる読解指導とならないように次の事項に配慮する

(イ) 国語科教材よりは、一学年程度下げた読み物を使い、語句に対する抵抗をなくすようにする。

(ロ) 語句解説、社会的背景の説明を加え、絵や掛図、統計資料を併用したり、教育機器による提示などの工夫をする。

(ハ) 事前提示、読み聞かせ、授業終了後の再提示等多面的な活用を図る。

(ニ)ねらいによって、扱い方、読ませ方の工夫をする。

(ホ) 文の省略、分割使用、説話資料役割演技への活用など。

イ 放送番組利用上の留意点

○事前視聴をし、指導計画との関連を図って採否を決める。 (無計画な視聴は、道徳の時間の指導とはいえない)

○VTR、テープ等の場合、指導過程のどの段階で視聴させるのが効

 

 

 


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