教育福島0083号(1983年(S58)08月)-015page
果的であるかどうか検討する。
○使用後の反省を記録するとともに教師間で活用方法の実践例等を相互に情報交換をするなどして、効果を高めるよう工夫する。
4) 発問、助言の工夫をし、道徳的価値に関する児童生徒の内面的自覚の深まりを追求する。
道徳の時間での話し合いがたてまえ論だけで終わらず、資料中の主人公や登場人物などに自分の考え方や感じ方を託して、児童生徒の本音を引き出すためには、次の条件を整えるよう努めることが大切である。
ア 学級の雰囲気が、一人一人の児童生徒に受容感や安定感を与え本音を表明しても、批判、攻撃、潮笑されない。
イ 教師が日常生活にあって自分自身の誤りを率直に認め、自己の言動に的確に洞察力をもつ。
ウ 教師は児童生徒の言動に耳を傾け真実の応答を要求するという真剣な態度
エ 児童生徒の本時のねらいにかかわる価値観(道徳性の実態)を事前に把握しておく。
オ ねらいとする道徳的価値を追求する方向に発問を焦点化し、児童生徒の考え方や感じ方が多面的に発言されるようにする。
五 特別活動の充実
(一) 特別活動の指導のあり方
特別活動は児童生徒の人格形成上、重要な役割を果たすので、各学校では創意を生かしながら一層の充実を図らなければならない。その際、望ましい集団活動を通してなすことによって学ぶ教育活動であるという特質を、各活動に具体的に生かして計画し実践することが大切である。
そして、指導のあり方については、
○児童生徒の相互作用を活発にする
○児童生徒の自主性を育てる。
○集団への所属感や連帯感を育てる
○児童生徒の相互理解を深め、好ましい人間関係を育てる
○集団生活における問題解決の方法を学ばせる
○自己理解を深めさせ、個性の伸長を図る
など、いくつかの要点をおさえる必要がある。指導に関しては、特別活動の持つ教育的意義や価値を正しく認識し、各教科や道徳とは異なった特質を生かした指導が、適切に行われなければならない。
(二) 特別活動の全体計画
特別活動の三つの内容は、それぞれ独自の特質を持っている。それらを十分に生かすとともに、目標を効果的、調和的に達成するためには、総合的な立場から全体計画が必要とされる。
以下、特別活動の全体計画を作成するに当たって特に考慮すべき点を項目的にあげてみる。
○学校の実態に即した特別活動の目標と指導の重点を明確にする。
○特別活動の指導組織を学校運営組織の中に正しく位置つける。
○授業時数の配当を適切に行う。
○地域や学校の実態、児童生徒の発達段階に合わせて作成する。
○内容相互の関連を考慮し作成する。
○他領域との関連を図り作成する。
(三) 具体的な指導のあり方
次に具体的な指導のあり方についていくつかの例を示したい。
1 学級会活動における話合い活動の
指導
学級会活動における話合い活動は「学級生活における諸問題の解決を図る活動、学級内の仕事の分担処理に関する活動及び楽しく視律正しい学級生活を築くための活動を行うこと」というねらいを受けて、学級の児童生徒が学級生活に関する諸問題を話し合い、解決するために行う活動である。
1) 基本的な考え方
○話合い活動は、学級会活動の基盤となる活動であることに留意して指導すること
○一人一人の児童生徒の特性に応じた指導をすること
○児童自身が問題を見つけ、適切な議題を選定できる力をつけさせるように指導すること
2) 話合い活動に関する留意点
○話合い活動を進める上で、司会者
・記録者及び議題選定委員などが必要となる。司会や記録の役割に
ついては特定の児童生徒に限定せず、発達段階に即して適宜交代させ、学級の全員にその役割を経験させることが必要である。
○学年段階に応じた話合い活動が考えられなければならない。すなわち、議題の選定、資料の選定、資料の作成、話合いの流れの予想、その他運営上の問題について十分話し合い、教師の適切な助言を得て児童が自主的に運営できるようにすることが望ましい。
○指導計画は児童の発達段階や実態に即して具体化することが望ましい。また、指導計画は固定的なものではなく、融通性、弾力性をもつものであり、また常に検討、改善が加えられなければならない。
○話合い活動においては、発達段階
に即して指導することが大切である。
○話合い活動で指導助言する際、次の点に留意する必要がある。
(イ) 何でも話せる、そして聞くことのできる雰囲気づくりに努める。
(ロ) 児童生徒に自治的活動の範囲を守らせるようにする。
(ハ) 話合いの途中の教師の発言はできるだけ少なくするようにする。
(ニ) 話合いの終わりには、実践の意欲づけとしての指導助言をする。