教育福島0083号(1983年(S58)08月)-017page
制をとるべきである。
共通理解を深めるためには、次の点に留意してすすめたい。
1) 生徒指導の意義やねらい等の基本的事項を再認識する。
生徒指導の基本的事項についての理解がばらばらでは本質をついた指導はできない。それぞれの教師が、自分の経験や指導観による指導に固執していたのでは成果はあがらない。
2) 共通理解は、日常の実践により深まることを重視する。
当面する生徒指導の課題の中で、すべての教師が一体となって指導すべきことを焦点化し、徹底するため日常の実践活動を積み上げることが共通理解の基盤となる。
同時に、日ごろから、生徒指導に関することを職員間の話題にするよう心がけ、一人の児童生徒、あるいは一人の教師の問題が、全教師の問題として対応できる雰囲気づくり、及び組織の見直しを図っておくことが大切である。
3) 研修を計画的に実施する。
共通理解を阻む要因の一つに教師個々の指導観の相違があげられる。その背景には、生徒指導についての理解の相違、深浅によることもあり研修により、互いに資質の向上を図ることが大切である。
4) 組織的活動を推進する。
全職員が一堂に会しての協議会等において共通理解を図ろうとするにはさまざまな困難が伴う。
学校の規模に応じ、小組織等を編成し、学年会との有機的な活動を推進し、共通理解を図ることが大切である。
2 生徒理解の充実
1) 生徒理解の必要性児童生徒をよく理解することによって、一人一人のどこを生かし、どこを伸長させるべきか、どこに問題があるのかが明確になり、どのような機会に、どのような方法で指導することが最も効果的かが明らかになってくる。
児童生徒理解を的確にするためには、次のことが大切である。
2) 資料の整備と活用を効果的にする
児童生徒を理解するためには、まず何を理解すべきか対象を明らかにしてかかるべきである。つまり、その子どもの人格を形成していると思われるものを、できるだけ細分化してとらえてみることであり、例えば生育歴、家庭環境、情操面、習癖、友人関係、健康状況、学校生活等々である。
そのためには、諸調査、諸検査を計画的に実施し、科学的、客観的な資料として整え活用していくことが大切である。
資料の整備、活用における留意点は次のとおりである。
○信頼度や妥当性の限界に注意し、資料を過信しない。
○各種の資料を総合的に利用する。
○必要によりさらに高次のものを求める。
○資料の解釈を誤らない。
○児童・生徒や保護者への資料の提示は慎重にする。
○学級担任以外の教師も活用できるようにする。
3 教育相談の充実
教育相談の充実のためには、次のことがらに留意する必要がある。
1) 現状の見直しを図る。
○すべての児童生徒にかかわる体制ができているか。
○一部の教師のみに任せっぱなしになっていないかO
○全校的な組織的・計画的な取り組みにまで右向まっているかO
2) 相談室以外での随時随所での教育相談が重視されているか。
4) 資質向上のための研修がなされているか。
5) 専門の関係機関との連携はとれて
いるか。
4 児童生徒の事故防止と家庭や地域等との連携
最近における児童生徒の問題行動を分析してみると、粗暴化、集団化、低年齢化、そして女子の非行の増加がみられ、それとともに、薬物乱用と性非行の潜行化があげられる。
非行等に対応する学校の態度としては、
1) その多くが学業に興味や意欲を示さないことを考えるとき、「わかる授業」の確立に努めることが大切である。
2) 非行の原因は、本人、社会、家庭学校などでの要因が、複雑多岐にからみ合っているので、表面に現れた現象のみでなく、その内的原因を的確にとらえ、ケースごとに対策を立てる必要がある。
3) 一般に問題行動の顕存化している中学校に、目がむけられがちであるが、問題要因は小学校のころに発生している例が多いので、小学校における生徒指導の認識を新たにすること。
女子生徒の非行の増加を考えるとき、女子教員、養護教諭の生徒指導についての資質と関心を高める必要がある。
5) 非行の広域化が最近の特徴の一つであり、学級、学年の壁をはずし、あるいは学校の枠をはずして近隣の小中学校と連携を取ってすすめることが大切である。
6) 児童生徒の健全育成に関係するPTA、児童相談所、子ども会育成会警察などと絶えず連絡をとりあい、絶えず情報交換、事例研究会を行うこと。
また、民生委員等に問題生徒をもつ家庭への指導を依頼する。