教育福島0083号(1983年(S58)08月)-020page
が図りやすい」等の長所を生かし、道徳的実践の指導が適切に行われるよう配慮する。
2) 少人数学級では、多様な道徳的な考え方や感じ方に出会わせ、話し合いを深めることによって、望ましい道徳的態度と実践意欲の向上を図る工夫をする。
九 体育、保健・安全指導
小学校体育の指導は適切な運動の実践によって基本的な技能を養い、力いっぱい運動して体力を高め活動欲求を満たし、運動の楽しさを児童一人一人のものとすることである。
中学校期においては、生徒の能力に応じて運動の楽しさや喜びを体得させ生涯にわたって運動を積極的に実践し健康の増進と体力の向上を図り、明るく豊かな生活を営む態度を育成する指導を指向していくことが必要である。
保健・安全指導は、主として学級指導、ホームルーム、学校行事、児童生徒活動等の特別活動や日常の学校生活における指導の中で取り扱われておりそれぞれにねらいを異にしていることを明確におさえることが必要である。
更に体育の指導を充実させるためには、地域の特性、学校や児童生徒の、実態を把握し明らかにしておくことが大切である。また、保健・安全指導では、学級指導を中心に児童生徒にふさわしい系統的な知識として統合、深化し、その成果をさらに発展させ、児童生徒が自主的に健康で安全な生活を実践できる態度や能力を育てることが大切である。
(一) 体育指導の充実
学校における体育に関する指導は、学校の教育活動全体を通じて適切に行うことはもとより、その中核的役割をなすものは、教科体育、保健体育であり、その指導の充実強化を図ることが大切である。
1 運動の特性を明らかにした指導
それぞれの運動の特性に応じた楽しさを十分体験させ学習意欲を盛りあげる。
2 共通理解による計画的、継続的指導
「学校における体育に関する指導」の基本方針を明確にし全職員の共通理解を得て、更にスポーツテストの結果等を十分に分析活用し、各学校の実態及び問題点を明らかにして指導する。
3 特別活動との関連を図る指導
クラブ活動、部活動の体育的活動、体育的行事、保健・安全的行事、学級指導、ホームルームなどの教育活動と有機的な関連を図ることが重要である。
4 日常生活に体育的活動の定着を図る指導
学校における体育の指導の成果をあげるためには、家庭や地域の生活に、おいても適切な体育的活動を継続して実践する習慣をつけることが必要である。
(二) 保健指導の充実
児童生徒一人一人が、健康な生活を実践し、自分の健康を一層保持増進していくことができる基本的な態度や能力を育成することを目指す。
そのためには、児童生徒の集団を対象とした指導と個人を対象とした指導に大別される。その進め方についてまとめると、
1 学級指導
学校における保健に関する指導全体の中で最も具体的で実際的な指導が展開されるものであり、保健指導全体の中核的な役割をもつものである。
ア 年間を通して計画的に指導する。
イ 指導のための適切な時間を設ける。
ウ 指導法を工夫する。
エ 評価の資料を十分活用し、指導に役立てる。
2 学校行事
二つの側面がある。一つは、保健指導それ自体を目的として実施する行事と、学校行事に伴って行う保健指導である。即ち「保健に関する行事」であり、それらの指導を行うに当たっては次の事項に留意すること。
ア 学校行事は、学年以上の全校的集団を対象として実施するものであること。
イ 実際に活動を通して行われるものであること。
3 児童生徒の活動
児童生徒の自発的、自治的な活動をそこなうことなく、児童生徒の意志を尊重しながら学校行事や学級指導における保健指導の成果を生かした実践活動が行われるよう指導すること。
4 保健指導における個別指導
学級には、集団の場における指導だけではどうしても行き届いた指導ができない児童生徒がいる。このような児童生徒に対しては、学校医、学校歯科医及び養護教諭などの専門家と一体となった適切な指導が必要である。
5 日常の学校生活における保健指導
朝や帰りの時間、始業前や放課後、休み時間などは、学級指導の保健指導や体育科の保健学習で指導したことがらがどの程度実践されているかを見きわめるとともに、特別な配慮を要する児童生徒を観察し、そのときどきの実惨に応じた適時の指導を行う絶好の機会となるものである。したがって、指導の意識によって、かなりの差が認められることになるので平素から十分な共通理解を図っておくことが必要である。