教育福島0083号(1983年(S58)08月)-022page
開することの大切さが指摘されているが、そのためには、何といっても、教師の自己陶冶と、問題解決への献身的な努力が望まれる。
第三の理由は、校内の職員組織の変化に対応しなければならないからである。一時代前までは、ほとんどの学校が三十代、四十代のいわゆる中堅教員で占められていたが、今では、二十代と五十代の教員が多くなっている。この世代の差を乗り越えて、一つの目標に立ち向かうには、日々の教育実践を通した共通の研修は欠かせない。
第四の理由は、学校に対する父母の意識の変化に対応しなければならないからである。父母の学歴が年々高まっていること、一家庭の子どもの数が減り、それだけ学校教育への期待が過度に高まっていることなどから、教師への要求も何かと多くなっている。そうした父母に対し、専門職としての識見をもって対するためにも、研修を一層充実していかなければならない。
各校にあっては、以上のきびしい現実を踏まえ、自覚をもって主体的な研修が展開されるよう、全職員の共通理解を図ることが大切である。
(二) 研修における評価機能の充実
研修の計画は、他の教育計画に比べて、いったん作成されてしまうと、以後吟味改善されることなく機械的に進められてしまうことが多い。
次のような観点から研修計画の実施状況を常に点検し、評価し、改善を加えながら推進したいものである。
ア 役割分担が明確で、作業量の均衡が図られているか。
イ 一人一人の特性を生かし、全員が参画できる組織になっているか。
ウ 研修組織と指導組織の関連が計られ、研修の成果が指導面に生かされるようになっているか。
エ 研修に充てる時間が、年間を通して適切に確保されているか。
オ 各回ごとに、何が解決され、何が問題として残ったかが明確にされているか。
カ 理論だけに偏り過ぎたり、逆に現実の問題だけに振り回され、本質を見失ったりしていないか。
キ 校外研修の成果が、校内研修に生かされているか。
ク 年齢や立場にこだわらず、率直に意見を交換し合う雰囲気ができているか。
(三) 個人研修の充実
「よく学ぶ者のみ、よく教えることができる」と古くからいわれているように、常に学ぼうと努める教師の姿はそれだけでも児童生徒への無言の教育となるものである。
教育活動は、教師と児童生徒との強いきずなを前提に展開されるものであるから、教師の力は、児童生徒の成長に深くかかわってくる。
したがって、自己研修は、全ての教師の生命であるとともに、すべての教育活動の基盤であるといえる。
すでに進められている各自の個人研修について、次の点から再検討する必要があろう。
ア 研修の意図やねらいが明確になっているか。
イ 長期の見通しをもって、計画的に進められているか。
ウ 校内共同研修や校外研修の成果が生かされているか。
エ 研修と毎日の一実践が結びついているか。
オ 記録の累積など、研修の深化を図っているか。
カ 先輩や同僚の助言・指導を、積極的に受けているか。
個人研修は、ややもすると場当り的になったり、計画倒れに終わったりしがちである。広い教養を身につけるための研修、教材研究、授業研究、生徒指導にかかわる研修、実技研修等のそれぞれについて、自己の課題と、研修の機会(いつ、どこで)や研修の方法を明確にして、意図的、計画的に推進していかなければならない。
(四) 研修時間の確保
研修の重要性はよくわかるのだが、研修のための時間確保が困難であるという声は多い。限りある時間の中で、より多くの研修時間を確保するには、学校運営全体の立場から十分に配慮されなければならないが、さらに、各教師の自発性に基づく創意工夫と、全教師の協力態勢が必要になる。
次のような視点から工夫して研修時間の確保に努めるとともに、その効率的な運営を図りたいものである。
ア 教育課程編成の上から、研修時間を生み出す配慮をする。
イ 月、週の行事計画の中に定例的に位置つけるとともに、他の行事によってカットされることのないよう十分留意する。
ウ 時間割編成上からも工夫し、学年等で研修できる時間の確保に努める
エ 長期休業は、長時間かけて、集中的に研修を進めるのに都合がよいので、その計画的な活用を図る。
オ 共同研修等の運営に当たっては、特に次の諸点に留意し、効率化を図る。
○事前に研修内容等を周知させる。
○教師一人一人の問題点を集約し方向づけをしておく。
○記録の累積に努める。
○研修時間を励行する。
○研修主任、学年主任、教科主任等のリーダーシップが発揮できるよう配慮する。
研修の充実を図るためには、以上のほかに、各種の研修会へ積極的に参加したり、指導機関や研究機関の適切な指導を受けたり、機会をとらえて研修の成果を発表、広く批判を求めるなど学校の実情に応じて、いろいろな創意工夫が図られなければならない。