教育福島0083号(1983年(S58)08月)-025page
て秋はバスや電車で校外見学の学習遠足。どちらも両校生にとって一年でいちばん楽しかった交流活動だった。
学年単位で一日過ごせる遠足はゆっくり交流する時間がもて、互いをじっくり知り合える貴重な体験であった。
共に歩き、一緒に弁当を食べ、おやつを交換し合い、遊んだ楽しい一日であった。
本校一年の遠藤としみつ君が、このときの楽しい様子を、
「せんせいあのね。ぼくはきのうろうがっこうのひとと ぶらんこであそびました。おはなしもしました。ろうがっこうのひとが わかってくれました。とってもうれしかったよ」
と作文してくれた。
六 感動したダンスや合奏
「両校で交流学習発表会」
十月二十五日。聾学校平分校の体育館は、開校以来の大観客で埋まった。交流学習発表会が開かれたのである。
草野小からは、二年生のダンスと、四年生がマスゲームに出演。同じ舞台で仲良く発表した。二百五十名を超す草野小の児童と保護者たちは、聾学校児童の「小さい秋みつけた」のダンスや、つぎつぎに演じる劇や合奏に感動させられ、惜しみない大きな担手をおくったのである。
所を変えて十一月八日は、草野小体育館で六百名をこす大観衆の見守る中で、・合奏・ダンス・劇を上演した聾学校生たちは、出演の合い間をぬって学年の教室で、草野小の友達と自主交流をするなどいそがしい半日だったが、お互いのふれ合いは深まり、以後両校生の手紙交換やプレゼント交換など新たな交流がひろがっていった。
次に紹介するのは、本校の父兄である石井多美子さんから寄せられた便りである。
(前略) 聾学校の低学年のダンス「小さい秋見つけた」は、かわいい衣裳に身をつつんだ子供たちが、指導の先生の手をじっと見つめながら踊っていた。その目の真剣さに、一人の子の親としてとても感動させられ、涙がどうしても止まらなかった。私達親子も、毎日一生懸命生きてきたつもりだったけど、まだまだ努力しなければならないことが、たくさんあるような気がして、聾学校の生徒さんに教えられたような気がします。
七 全員完走……西山君堂々11位
「交流マラソン大会」
沿道いっぱいの応援する父兄の手が足が、体がとびあがり、まるで自分が走者になったよう1十二月十二日は交流マラソン大会が寒風をついで行われた。一位こそとれなかったが、五年生の西山君の十一位を筆頭に、全員完走の聾学校の友達は、もうすっかり草野小生になりきっていた。惜しみない拍手がアスファルトの家並に鳴りひびいていた。
八 交流なわとび大会
「はじめての体験に挑戦」
聴障児にとって身体のリズムを正しく長時間とることは至難の技とされ、なわとび大会は実施されなかった。
しかし、真剣な指導と練習の成果はみごとに実り、健聴児と共に最後までがんばりぬいた聾学校の子供たちの中で、全種目に合格した入賞者が二名も出る成果があがったのである。
◇保護者の感想から
−交流教育で教えられたこと−
1) 長く継続していくべきである。
2) 思いやりや、いたわりの心が育つ活動と思う。
3) 大人もぜひ参加したいと思う。
4) 子供にとってよい体験であり一人間理解のすばらしい教育である。
5) 偏見をなくすためにも、幼少の時からやるべきである。
6) お互いにがんばる力や気持ちができる教育活動である。
7) 豊かな人間性をつくるため、役に立つすばらしいことだ。
九 音のない世界に安全を
「交流交通安全教室」
耳の不自由な人にとって、交通地獄の世界を生きぬいていくことは正に深刻な最重要課題である。
交流二年目のスタートは「仲よしになる会」に続いて、交通教室から始めた。学年単位で道路を歩行。信号のみかた、横断のしかたを国道で現場学習をし、秋には自転車の安全な乗り方の教室を交流活動として開いた。両校間は約一・五q。スクールバスがないので交流の往復は歩く。高学年は自転車を借りての通学だったが、本年四月、篤志家から五台の自転車が寄贈され、今後は、練習にも通学にも楽ですと聾学校では大喜びである。
十 みんな仲よくハッピ姿で
「草野子ども秋まつり」
昨年秋、二年間の研究成果を発表したが、全学年「子ども秋まつり」の準
聾学校低学年生のダンス