教育福島0083号(1983年(S58)08月)-038page

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教育センターから

 

社会科学習指導の改善を求めて

 

はじめに

 

新教育課程が実春され、各学校にお

いては、当面する課題をふまえながら学校教育の本来の姿を実現すべく努力が重ねられているところである。

社会科においても、これまでの実践にどのような反省を加え、これからの社会科をどう改善したらよいのかなどそれぞれの学校で、実態を踏まえた実践研究が進められているようである。

今回の社会科の改訂では、特に「自ら考え、正しく判断する力」を、一人

一人の児童生徒に育てることを強調している。また、内容については、小学校、中学校及び高等学校の一貫性を図るとともに、学校段階の特質に対応した内容の精選やその組織配列の改善が図られている。このような改訂の趣旨を具現するために、学校現場の課題を探り、「社会科学習指導の改善を求めて」と題し、参考に供したい。

 

一 合科的な指導

 

新学習指導要領の総則に、なお書きの形式で、「なお低学年においては、合科的な指導が十分できるようにすること」と指導計画作成上の配慮事項が新たに付け加えられた。このことは、幾つかの教科の関連する指導内容を有機的に組み合わせて、児童の発達の特性に応じて計画的に指導するということを意味していよう。

したがって、総則で示した「合科的な指導」とは、いわば七教科を前提とした言葉で、組み合わせについては、さまざまな様態が考えられる。しかし教科を否定した合科であったり、さらに総合科になることは、学習指導要領の趣旨からいって問題であろう。

そこで、学習指導要領で要請している合科的な指導とはなにかを明確にしなければならない。学習指導要領や指導書などから指摘されることは、合科指導ではなく、合科的な指導を推進することであり、それは、教科の教育を前提にしながら、そのねらいを達成するために、指導の実際にあっては、児童の発達特性や地域、学校の実態を考慮して、教科の枠にとらわれず柔軟に対応するという、複数の教科のねらいを、より効果的に達成させるための指導法の一つであるということである。

今後、実践に取り組む場合に、まず望まれることは、この考え方に基づいた指導計画を作成することであろう。

その際、留意すべきことは、目標と目標との関連を重視することで、目標を棚上げにし、内容と内容との関連のみで、指導計画を作成しないことである。また、教科指導の全てを合科的に取り扱う指導計画は問題である。

これまでの実践例をみると、時間枠を取って実施している学校も見られるようになってきたが、大半は教科指導の中で工夫し、その学習の型も、合科的な指導をプラスした「社会・図工合科型」又は「主要四教科」を中心教科とした組み合わせが多いようである。

合科的な指導に当たって、更に確認しなければならないことは、合科的な指導が、児童の発達特性や直接体験の重視、そして、現実の社会生活の中で力強く生きて働く力を身につけさせるという現代的要請を背景に、今日的な教育課題として提示されてきたことである。今後、各学校の創意工夫の中で着実な実践が期待ざれる。

当教育センターでは、この問題多い「合科的な指導」を講座の中にも取り入れ、特に全国の先行研究を紹介していただこうと、創価大学教授木原健太郎氏を講師に迎えている。

 

二 地歴並行学習

 

今回の改訂では、とりわけ各分野の関連を生かすことに重点がおかれた。このことは、目標と内容の構成において、各分野の関連を生かすことで、「指導計画の作成と各分野にわたる内容の取扱い」一の中に「各分野相互の有機的な関連を図るとともに、地理的分野及び歴史的分野の基礎の上に公民的分野の学習を展開するこの教科の基本的な構造に留意して、全体として教科の目標が達成できるようにする必要がある」と具体的に明示されている。

教科の基本的な構造に留意して各分野の関連を図るということは、社会科の基本的なねらいである社会認識と公

 

 

 


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