教育福島0083号(1983年(S58)08月)-042page
福島県教育委員会
相双地区教育広聴会
学校・家庭・地域のこえをきく
今年度二回目の教育広聴会は、七月十五日(金)午後一時から大熊町・農村環境改善センターで、佐藤教育次長
・村岡総務課長ら各課長が出席、また傍聴者として相双地区の教育長・校長
・PTAの代表者が参加して行われました。
佐藤教育次長から、「近年、激変する社会情勢の中で、児童・生徒の成長発達にさまざまな影響を与え、非行や校内暴力等の多くの問題をなげかけております。このことの根本的な対応策を講ずること屡学校・家庭・地域社会全体にかかわる最重点の課題でもあります。本日は、相双地区各層で青少年と深いかかわりをもっている皆さんから、学校・家庭・地域のこえをお聞きいたしまして、今後の教育行政の参考にさせていただきたいと考えております。貴重な体験やご意見を遠慮なく率直にご発言下さい」とのあいさつがあり、広聴会に入りました。
今回は、相双教育事務所管内の教育現場で児童・生徒の指導にあたっている先生やPTA、その他の関係機関など、それぞれの立場で青少年健全育成に携わっている九名の方から^ 「学校と家庭及び地域社会との望ましい連携のあり方」を主題に、直面する問題や解決しなければならない課題について意見の発表がなされたあと、健全育成について話し合いがもたれ、建設的な意見が多数出されました。
八、九月号の二回にわたり意見発表の概要を紹介します。発表者は詳細な資料等をもとに発言されましたが、省略します。
「学校と学庭との連携はどうあればよいか」
小高町立福浦小学校
教諭 高橋 文子
本校は、相馬郡の南端に位置し、地域は、六号国道に沿った農村地帯ですが、その昔は漁業も盛んな所であったそうです。福浦は、以前から学校教育に対する関心が高く、家庭の学校への協力のあり方も積極的でよい地域であると言われてきました。
人間性豊かな児童を育成するためには、学校と家庭が常に密接に結びつき相互理解のもとに積極的に協力し合うことが不可欠でありますが、近年、共働きの家庭が増加するにつれて、児童を取りまく生活環境や、家庭の学校への対応のし方などにも変化がみられるようになってきております。
特に、家庭における膜を学校に依存する傾向が強くなり、児童の基本的生活習慣の不徹底のしわ寄せが学校の生活や学習指導の中でも及んできたり、児童の金銭感覚の麻ひや生活リズムの乱れが問題行動の徴候となって表れるなど、生徒指導上の問題にもなりかねない側面がみられます。
また、せっかくの学校行事に、関心はあっても勤めの関係で参加できなかったり、教師や学校からの児童に関る連紹や働きかけに対しても、必ずしも素直に受け入れられ、期待した反応があるとは限らないのです。人それぞれに性格が異なるように家庭の事情も千差万別で、話し合いの中でも容易に接点を見出せず、教師や学校であせりを感じたり、あきらめに近い気持ちを抱くことさえもあります。
そこで本校では、教育目標を具現するには家庭に学校を理解していただくことが何よりも大事であると考え、教師と父母との人間的触れ合いを重視したいくつかの実践を試みております。
その一つは、「月のめあて」の家庭配布と授業参観の実施です。
学校の教育目標を分かり易くした月々の目あてを各家庭に配布し、学校の考えや家庭の果たすべき役割などについて理解していただくとともに、あいさつ運動などを通じて児童の基本的行動様式の習慣化に役立てております。
年四回の授業参観は、学校での児童の実態を把握してもらうことと、親と教師との密接な触れ合いの場となることを願っています。参観後の話し合い