教育福島0083号(1983年(S58)08月)-049page

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東西南北

 

友好の灯はいつまでも

白河一小・友村国民学校と姉妹校

 

白河市立白河第一小学校は、大韓民国ソウル特別市友村国民学校と姉妹校である。

同校は、昭和五十四年二月十一日付で友村国民学校との間に、「姉妹校結縁牌」を交換したが、ことのおこりは次のような経過があった。

四年前、友村国民学校長李珪寿氏は日本の教育事情視察をされたが、氏は「私立学校の教育内容を根本的に改善し、真の韓国民育成のための学校経営を行いたい」という強い願望をもたれていたので、この機会に、教育方針、内容、活動状況等を直接学校現場を視察する中で、身につけていきたいということであった。その視察校として白羽の矢が立てられたのが白河第一小学校であった。

結縁牌の交換以来、文字どおり姉妹校としての教育交流を行っているが、四月六日の入学式の日に、李校長からの書簡があり、その内容は、友村国民学校創立十八周年記念式典を開催するので「是非出席してメッセージをお願いしたい」と、いうことであったという。

四月という月は、学校関係でいえば年度の始まる月であり、学校行事をはじめ、多くの行事が山積する月でもある。「留守をすることで先生方に迷惑をかけられないし、どうしょうかと迷いましたが、結局、国際友好親善のお役にも立てるのではないかと思い、行くことにしたんです」と当時をふりかえって水戸校長は語る。

 

以下に紹介するのは、四月十三日から二泊三日の日程で、友村国民学校創立記念式典に出席のため訪韓した水戸金正白河第一小学校長からの便りである。

 

友村国民学校はソウル市内から約三キロ離れた敦岩洞の岩山(一帯が国立公園)にあり、環境、規模とも白一小とよく似ている学校である。また当校は、中華民国台北市の私立静心小学校(将介石氏次男経営)とも姉妹校を結び、教師、児童の交換研修をするなど私立校の特色を生かし、活発な活動を展開している名門校である。

さて四月十三日午後四時飛行場に到着すると、制服制帽の児童とともに多くの教師、父兄の大歓迎を受け一瞬驚きと予想と現実の相違に反省させられた。だれもが明るく、伸び伸びと国際感覚を身につけた子供達の大胆な行為に接し、韓国教育の偉大さを身にしみた。

翌十四日は記念式典のため学校に行き、校門までの歓迎の中、校長室に案内され、多くの来賓、学校関係者と対面した。学校全体が花で飾られ校長室の豪華さに驚いた。徐允錫通訳(元日本人学校卒業教科指導主事)のもとで紹介があったが、年輩の人達はいずれも日本人学校で教育を受けた人達で、当時の懐しさと、今の韓国教師への不満が強調され印象的であった。本音をきくと、どんなに教育改革を唱え、内容を改善しても教師一人一人の意識を改革し、真剣に取り組む姿勢がなければ期待できない。教師の意欲と情熱が今韓国では何よりも必要なのだとのことで、何か他人ごとではない感を抱き反省させられた。

次に記念式場に入り、児童・父兄の整然とした姿勢も立派で、各自が目的意識を持ち、厳粛の中にもわがことのように喜び祝う姿に驚き、日頃の指導の徹底さに感心させられた。

昼食時、李校長と話してみると実は白一小の集団行動、給食指導に感動し早速「生活の手引」を作成し全職員で実施した成果で、やれば必ず出来るものですと自信溢れる説明であった。特に李校長はまねる、まなぶことだと強調したことが印象的であった。

午後は施設設備が世界一という私立景福国案学校を見学したが、まさに世界一の建物で体育館は総大理石、給食はパン、ご飯も一切自校で作り、エレベーターで直送。放送室は民間放送局以上で専門職員を配置、歯科医まで職員として採用し治療に当たっている。例外とはいえ私立経営のすばらしさを見ることができた。

三日間の訪問を通じ「何事も日本に追いつき、追い越せ」が合言葉で、知徳体芸技の均衡調和による全人教育が私の役割ですと、胸をはっていいきった李校長の目が、今でも忘れることができない。

国是は違うが教育に対する情熱は良き友であると、つくづく思う。

 

みんな仲よく

みんな仲よく

 

 

 


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