教育福島0084号(1983年(S58)09月)-024page

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わたしの研究実践

 

内容を読みとる授業

月舘町立小手小学校教頭

川上 重明

 

はじめに

 

本校では、毎年三月に学力の到達度を測定するために、標準学力テストを実施している。その結果、理解の学力に関しては次のような問題点があげられた。

(一) 語句の意味に関しては、正答率が五十パーセント台のところもある。

(二) 熟語の成り立ちについての正答率は四十パーセント台で、修飾関係に至ってはかなり低い正答率になっている。

(三) 語句の意味がわからないため、文章の読解も不十分である。これらのことから、「語い、語句」の理解と、「文、および文章構成」をとらえる力の不足がうきぼりにされた

そこで、本校では、大事な「言葉の意味」と「表現形式」を的確にとらえた理解学習のあり方があらためて大きな課題となった。

 

一 研究の重点課題と指導計画の作成

 

そこで、本年度の重点課題として、つぎの三つを取り上げた。

(一) 大事な言葉を的確にとらえ、児童が生き生きと考え、操作し、活動する場面の設定

(二) 既習事項(内容、方法)を生かした効果的な学習のつみあげかた

(三) 計画的に言葉の取り上げ学習をとり入れ、基礎的事項の定着を図るわたしたちは、これらの課題解決の仮説としての指導計画作成の手順を、つぎのように設定して研究をすすめた

(教材分析表は省略)

(一) 主題を的確にとらえる(全体)

(二) 主題を支えることがら(意味のまとまり)をとらえる。(部分)

(三) 学習の単位時ごとの大まかな展開をとらえる。

(四) 内容を読みとる手がかりとなる、「大事な言葉」や「表現、語法」の工夫をあらい出す。

(五) 児童の実態や反応を予想して、毎時の基本発問を二〜三におさえる。

(六) 本時のねらいを焦点化し、発問群を構造化して展開案を作成する。

(七) 研究授業を実施し、到達度の評価と指導法に反省を加える。

 

二 授業展開の構想

 

前年度は、教材の見かた、分析を中心に研究をすすめたが、本年度は言葉の形象(表現性)をとらえて読みを深めるためには、どのような指導過程をたどることが有効かを重点的に追求することにした。特に、展開案における指導過程については、基本的な過程をベースにし、児童の基本活動や具体操作の可動的な組み合わせによる学習の効率化を考えた。(別表1)

すなわち、理解の授業の中では、一人一人にどのような活動をさせることによって「文や文章中における語句の持つ性質や役割」をふまえた読みの力がついてくるのかを追求することであ

 

表1 読みとりの授業における基本的活動

表1 読みとりの授業における基本的活動

 

 

 


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