教育福島0084号(1983年(S58)09月)-025page

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る。そのせまり方の視点としては、

(一) 本時のねらいにそって「重要な語句や中心文」を見つけさせ、その語句が、文章の中でどのような意味や働きをなしているかを追求することによって読みを深めること。

(二) また、文の構成(主述、接続、修飾、被修飾関係)や、前後の文の意味関係を関連的にとらえさせることによって読みを深めること。をあげた。そして、研究主題の「進で学習に取りくむ児童」を育てるめ、一人一人に読みの技能の定着図ることをねらった。その意図のとに、学年別、分野別、単元別の語事項系統表作成の試みもなされた。(系統表は省略)

 

三 研究実践の概要

 

〈事例一〉 六年「石うすの歌」

−墓参りの場面と、八月六日の朝の登場人物の気持ちの読みとり−

 

(一) 本時の授業の流れ

 

1) 語句調べをざせる。

2) 中心語句をさがさせる。

2) 中心語句をさがさせる。

ア 一人調べをもとに中心語句に線をひき、書きこみをさせる。

イ みんなでねりあげる。

3) 中心語句を手がかりに、内容を対比させながら読み深めさせる。

ア 文脈における精確な意味をとらえる。

イ 対比やくり返しの強調した表現の工夫をとらえ、意味の関連を明確にして主題にせまる。

4) 朗読して味わう。

 

(二) 展開における語句の取りあげかた

 

T1 墓参りの場面で登場人物の気持ちを表しているところはどこか。

C1 「本当にいいところね」

C2 「何度もくり返しました」というところは、さみしいような感じがする。

C3 こんないい所にほんとうにつれてきてよかりたと思っている。

C4 こんないい景色のところに住めるのがうらやましい。

T1 の働きかけでは、この場面での意味を焦点化してとらえさせることはまだできない。児童の反応にとまどいがみられる。

そこで、つぎのように教師はきりこんでいった。

T2 「ねむる」とは、どういう意味

を表しているのだろう。

C5 死んでしまうこと。

C6 死んで、先祖といっしょに堀に入ること。

T3 この言葉が「強く強くよみがえってこようなど、どうして考えられましょう」の表現には、千枝子たちのどんな気持ちがこめられているか。

C7 考えもつかないことだった。

C8 「強く強く」のくり返しで、考えられなかったことがよけい強められている。

更に、

T4 八月六日の朝は、どんな朝だったのか。

という発問によって後半の読みに入った。ここでもくり返し用いられている「どうして考えられたのでしょう」の表現をとりあげ、当日の朝の平和なようすと信じられない「両親の死」への強い気持ちを対決させ焦点化させた

 

(三) 考察

 

二つの場面にくり返し用いられている「どうして考えられたでしょう」の表現を中心に内容を焦点化し、対比させて読みとらせたことは効果的であった。

しかし、T3の発問のところでは、同文中の「四、五日の後」の意味理解の徹底度の確認がほしかった。これが前半の「ねむる」と後半の「どうなったかわからなくなった」の二つの意味を結びつげるかなめになる言葉だからである。〈事例二〉 三年「太郎こおろぎ」

−先生に問いつめられ、とっさにうそを言ってしまったしのの気持ちの読みとり−

文中の「どこに」 「どんな」気持ち.が表れているかを自由に発表させた後で、つぎの発問によって内容を焦点化させていった。

T1 「とっさに言ってしまった」しのちゃんの気持ちを考えてみましょう。

C1 太郎を先生に言うのは悪いと思った。

C2 太郎は、けしゴムを取りに行ってくれたのでかばってやった。

T2 「とっさに」とはどんな意味かな。

C3 急に言うことです。

C4 ぱっと言ってしまうことです。

T3 とうとう見つかってしまったのでとっさにうそを言ってしまったのね。

(ここで重要語句板書)

このあと、先生の言葉を音声にさせるなどしてイメージ化を図った後、太郎の気持ちをノートさせた。

その内容からも読みの深まりが感じとられた。

 

おわりに

 

本校では、まだ研究の日も浅く、児童にも十分に読みの技能は定着していない。したがって、教師のリードによって授業が展開されている。現段階では、いかに少ない発問や指示によって児童を活動させるかが大きな課題である。

今後の実践研究によって、児童中心の授業にかわる日のくることを望んでいる。

 

 

 


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