教育福島0084号(1983年(S58)09月)-030page
教育センターから
教育相談講座の紹介
−教育カウンセラー養成講座−
はじめに
最近のように国家的施策として青少年の問題が取り上げられた時は、過去に例が無かったのではないか。
それにもかかわらず校内暴力、家庭内暴力、登校拒否(不登校)など、問題行動はむしろ増加の傾向を示している。この時にあたり、家庭における子弟の教育は勿論、学校においても特に一人一人の生徒の心をよく理解し、単なることばとしてではなく、本当の教師と生徒の相互理解を基調とした温かい人間関係を樹立する必要があり、それがホームルーム担任や教育相談を担当する教師だけでなく、すべての教師に必要な資質として社会から要求されているものである。このことをもとにより積極的に、一般の児童生徒の指導に取り組むことが、現在かかえている不適応児や問題児の改善につながるものであることを強調したい。
更に具体的方策として、学校内における教師相互の連携に基づく指導体制の確立の必要性があげられる。
そのために、教育相談についてより高度な知識・技術を身につけた教師の養成がさけばれ、それに基づいて、県の重点施策として誕生したのが、学校カウンセラー養成講座である。
一 コンサルテーションとスーパービジョン
最近の生徒の問題行動は極めて多様化しており、暴力にしても以前には考えられなかった、甘え、依存型→攻撃性→暴力行為といった機制をとるものが目立ち、その指導も一人の教師の手によるよりは、何人かの教師が連携して、意見の交換、指導仮説の設定、指導、指導仮説の改善といった流れをくり返す必要がある。そのとき機能するのがコンサルテーションであり、より進んだスーパービジョンである。
教育相談におけるコンサルテーションは、生徒の問題について、より深い認識を持った教師が、生徒を直接指導する教師と話し合うことにより、生徒像がより明確になる体験がもて、そのことをもとに直接指導する教師が、いま生徒に何をしたらよいかを自分の力で、具体的に発見できることであるといわれている。またスパービジョンとは、直接指導する教師の指導技術などについて、アドバイスすることである。この様な役割をする教師が、コンサルタントであり、スーパービザーである。
二 学校カウンセラー養成講座
(一) 目的
教育相談に関するより高度な理論及び技術についての研修を深め、学校における教育相談を推進するための中心的役割を果たすことのできる指導力を身につけることを目的とする。
(二) 期間
年三回、一回三泊四日の研修を行う。本年度は、六月六日、十月二十五日、一月二十三日から、それぞれ三泊四日研修を計画し、前期が終了した。
(三) 内容
1) 前期
○カウンセリングテーマ研究
これは、本講座の中心になる研修で前・中・後期にあり、講座受講者がかかえている生徒の問題について、担当所員のコンサルテーションやスーパービジョンを受けながら研究し、問題の改善をはかり、研究発表・協議を通じてまとめる。
本年度の研究テーマ一覧
○テストバッテリー
問題行動に適するテストの組み合わせについて研修し、諸検査による生徒理解がいかにあるべきかを検討する。
○カウンセリングの諸理論
筑波大学の原野広太郎教授を講師にカウンセリングの諸理論とその特徴などについて研修する。更にカウンセリングに必要な種々の心理療法のあらましについても学ぶ。
○ロール・プレイングの実際
中・高教育相談講座で実施された入門的ロールプレイングを特展させ、実際に使えるようにするのがねらいである。ロールプレイング場面で使われることはないが、カウンセリング中しばしば利用される大変重要な技法であり、カウンセラーの資質の向上にも役立つものである。
○サンドプレー(箱庭療法)の実際
心理検査がそのまま治療につながり