教育福島0084号(1983年(S58)09月)-031page

[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

それを毎日でも実施することができ、その結果がそのまま治療の推移を示すという極めてユニークな心理療法である。その方法・解釈などについて概論的に学ぶ。

2) 中期

○家族カウンセリングの進め方

「家庭なき家族の時代」といわれ、子供の問題の背景としての家族の病理性が重視されているが、家族関係の改善をねらっての家族カウンセリングをどのように進めたらよいか。立教大学の平木典子教授を講師に研修する。

○思春期の精神医学

思春期は発達を続ける子供達が、はじめて経験する「疾風怒とうの時代」であり、不安や葛藤が生じやすく、極めて、不安定な精神状態にある。その精神生活を福島医大の八島祐子助教授を講師に研修する。

○行動療法の基礎と実際

日本に行動療法が導入されて二十年位の歳月が経過しており、行動理論や学習理論を背景とする心理療法として定着している。その理論的な基礎と系統的脱感作法など実際的技法について研修する。

○思春期の生理と心理

思春期は、「からだ」の変化の速度が大きく、「こころ」がそれに追従できなくなり、心身相関がくずれ、種々の問題に発展することが多い。思春期の心と体の発達について、心身一如の立場に立って研修する。

3) 後期

○自律訓練法とバイオオフィードバック法の実際

教育相談一次研修の自律訓練法の基礎の上に立って、身についた技法にするための研修をすると共に、自分の気づかない生理的変化に気づくことで治療しようとするいわゆるバイオフィードバックについても学ぶ。不安を背景とする神経症的な問題行動の治療として注目される技法である。

○カウンセリング実習

この講座の重要な柱の一つであり、実際にカウンセリングを体験し、互いに観察し協議や所員のスーパービジョンによって実践的な研修をする。

カウンセリングの理論や技法について学ぶことの重要さは勿論であるが、それにも増して大事なことは理論や技法を実際に対象児の問題改善にどう生かすかで、それを実践的に研修する。

 

三 まとめ

 

今回は、本年度から実施される学校カウンセラー養成講座の概略について紹介したが、本講座は、教育相談一次二次講座を受講したあとで受けるのが望ましく、講座内容がそれを前提として組み立てられている。既に前期が終了しているが、受講者の反省からも前記のことが感じられる。学校カウンセラー養成講座が実施されたことで、長年の懸案であった初級から上級までの一貫した教育相談講座の体系化ははかられたのであるが、教育相談技術は日々みがかれなければならないものであり、理論、技法共に研究を重ねれば重ねる程奥深く、究極においては人間の尊厳や生命の尊重とかかわってくる。

従って、教育相談講座全体のより充実発展のための研究は勿論であるが、受講された先生方も、校内での研究、研修のみにとどまらず、多くの場を利用してより深い研究を重ねられるようお願いしたいし、それをもとに同僚の先生方にもその環を広げ、教師の有機的連携、相互理解に基づく生徒指導を指向していただきたい。スーパーバイザーやコンサルタントは、仲間から招かれることで役目が果せるものであることを忘れてはなるまい。

 

本年度の研究テーマ一覧

 

 

 

 


[検索] [目次] [PDF] [前] [次]

掲載情報の著作権は情報提供者及び福島県教育委員会に帰属します。