教育福島0085号(1983年(S58)10月)-009page
二 研究内容と方法
(一) 研究内容
児童自らが、自然に対する活動を広げ、自然認識を深めて、喜びのある観察・実験を行うために次のような研究を行う。
(1) 指導計画を改善する。
1) 児童の活動を主体とした指導計画を作成する。
2) 本時の目標を「活動目標」で設定する。
(2) 授業の展開の場面に力点をおいた授業研究の実践をする。
1) 児童が主体的に観察・実験に取り組める場の構成を工夫する。
2) 児童の発想を生かす意欲的な学習を工夫する。
3) 効果的に進める観察・実験の指導法を究明する。
(二)研究方法
(1) 研究推進委員会を軸にして、授業研究、調査評価、環境構成の三部門から主題にせまる。
(2) 研究主題と児童の実態や地域の特性との関連を把握し、研究を進める。
(3) 理科でめざす児童像を明確にして学年主題を設定し、研究の視点、具体的方策をあげて取り組み、研究の深化を図る。(図3)
図3 理科でめざす児童像
三 研究の実践と概要
(一) 指導計画の改善をする。次の点から指導計画の改善を図った。(図4)
(1) 児童の活動主体の指導計画にする学習指導要領の目標及び内容を分析し、地域の特性、児童の実態を考慮した上で、各学年の主題にせまる指導計画の作成をした。
(2) 具体目標は、知識・理解・観察・実験の技能、科学的思考、自然に対する関心・態度の四項目で構成した。
(3) 活動の意欲を高める素材の教材化を図り単元の目標や児童の認識の深まりを考えて単元の構成を図った。
(4) 児童の活動の評価方法は、( )内に表記し、活動の場面で直ちに評価できるようにした。 (臨場評価)
(5) 本時の目標は「活動目標」として設定した。(資料)
(二) 授業の展開の場面に力点をおいた実践研究をする。
前記の研究の視点や方策を踏まえ、次のような児童の活動を重視して、授業の実践に当たった。
資料 活動目標
活動目標とは、授業を構成する場合、児童と教材との関係に目を向け、児童が教材にはたらきかけることによって醸成された欲求や願いから活動の順序性を想定してできた目標である。それで、児童の活動の状況を究明して、そこに見られる児童の活動の系列を目標として構造化することによって教師の意図する目標も達成できるという見通しの基に設定する。
(1) 新しい問題を先行経験と結びつける。
1) 事実や知識を集める。
2) 観察や実験の方法を考え企画する。
3) 材料や器具の使い方を考えて準備をする。
(2) 因果関係を明確にする。
1) 観察や実験の目的・観点をはっきりさせる。
2) 主観にこだわらず、事物・現象をありのままにとらえる。
(3) 児童の多様な活動を重視し、主体的に解決を図るようにする。
1) 直接経験をすることにより、五感を通して事実をとらえる。
2) 一人一人の活動を大切にしながら、集団による討議や活動を通して個を高める。
(4) 児童の考えが実験に生かせるようにする。
1) 先行経験を基にして観察・実験の方法を考え、友達の考えも受け・入れて補正する。
2) 一人一人のアイディアを尊重する。
(5) 観察や実験に十分時間をかける。
1) 事実をありのままに記録し、事実に基づいて自分の考えを的確にまとめて表現できるようにする。
2) いろいろな方法を駆使し、多面的に考え、見直しや修正、補正を行い解決する。
3) 結果を数量的、分析的に観察し
一人一人を大事に