教育福島0085号(1983年(S58)10月)-027page

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ア 三年生では、各種目とも「ゲームを楽しむ」という段階まで進むことが大切であり、それには、ルールの理解、ゲームの仕方、試合の運営方法などの学習を計画に含ませる。

イ 種目に応じた準備運動は、健康・安全管理の上からも必要性があることを理解して実施する。

ウ 雨天時は、同一時間に他の学年の授業もある関係から、選択制授業が実施出来なくなることもあり、一斉授業を実施する場合もある。また、屋外の種目である軟式庭球は、コートコンディションが悪く、使用出来ない場合もあるので、その時はグランドの一部を利用して、練習方法などを考えさせながら実施する。

3) 指導のポイント

授業は種目ごとに、体育館、卓球場仮設コートなど数か所に分かれて行うため、同じ場所で行う一斉授業と違って、目が行き届かない場合が出てくるために、次のような対策を立てる。

ア 体育館に全員集合させて、一斉に準備運動を行い、その後各グループに分かれて実施するが、必ずリーダーを集合させて、練習予定を確認する。

イ 各グループの授業記録簿を教師と生徒との間の連絡ノートとする。

ウ 各グループに対して、教師は巡回指導を密に行う。

エ 健康管理・安全管理については、特に留意する。万一、事故等発生した場合には、速かに担当教師に連絡する。

グループ学習方式の成否は、リーダーの指導力に負うところが大きく、グループ間に差がでてくる。部活動の経験のある生徒が、リーダーに選ばれているグループは、授業が能率よく進められている。

学習内容は、種目によって異なるがゲーム化することによって、種目の本質や基礎的技能の必要性を知り、段階に応じて、技能やルール、練習方法などをグループ内で検討させ、そしてよりレベルの高いゲームを目指して、しかも全員が楽しく意欲的に活動できるような学習活動を考えていく。

 

三 授業を終えてのまとめ

 

選択制の授業は、自分で選んだ種目ということで、押しつけ的な授業でなく、その取り組みにも自主性が生まれて、自ら進んで練習に励むようになり生徒達も練習に対して楽しみやおもしろみが湧き積極的に活動している姿がみられた。しかし、グループ学習は、どうしても目の離れるグループができ生徒の中には飽きがきたという声もあり、これが遊びとなってしまったりする。これは、生徒の自主的活動が出来るような学習経験をさせていなかったこと、学習指導についての工夫改善の不足がみられたことを反省している。

授業時間数を二十一時間予定するが実際に種目ごとに分かれての選択制の授業が実施できるのは、雨天のため予定時間数より少なく、そのうち軟式庭球は、コートコンディションが悪く使用出来ない日もあり、コートを使用しての練習は、それよりもなお少なくなる。そこで、授業展開に当って最も問題となる点は、雨天時の授業であり、特に屋外の種目である軟式庭球で、やはり限られた施設での学習能率の低下は免れない。

出席状況、用具・器具の準備、整理などを自分達のものとして、お互の協力により学習活動を展開した。指導者が一方的に指導する授業に比べて、生徒達の自主性を生かし、生涯スポーツを目指す授業の方法としては良かったと思う。授業に対する意欲や効果は、反省することにあるので「授業記録簿」を作り、各種日ごとに反省し、記録させ、次の時間では、どこに注意し、どのようにして実施するのか、計画を立てさせる。しかし、まだ「授業記録簿」の形式とか、活用の仕方、その内容的な面で検討すべき点、指導の必要性などはあるが、次の時間「どうしょう」と目標をもって授業に臨む姿が見られるようになった。

 

四 反省の問題点

 

自分の興味・関心のある種目をより長く学習できるという選択制の授業は施設設備の面で、特に雨天時など多少の問題はあると思われるが、生徒達が意欲的に学習活動にとり組み、比較的スムーズに展開することができたのではないかと思われる。しかし、良い環境が必ずしも良い学習効果を上げるとは限らない。テニスの練習はコート以外でもできるなど施設・用具の活用の仕方、種目によって練習する場所などの創意工夫も必要であると思われる。

選択制授業についての不安やこれからの問題点としては、

ア 自主活動(グループ活動)は、どうしても教師の巡回指導の形をとらざるを得ないので、十分な指導が出来たかどうか、生徒の自主性を尊重しながら、どの程度の指導を加えて行くか、教師の助言・指導について十分に留意する必要があるのではないか。教師(指導者)の指導と生徒の自主性とのかね合いがむずかしくどの段階(程度)まで指導したらよいか、あまり指導を加えすぎると、生徒の自主性がなくなってしまうし指導上むずかしい面もあり、今後検討していかなければならない点である。

イ グループ活動は、どうしても目の離れるグループができるので、特に生徒達の健康管理・安全管理についての指導が大切である。

ウ 落ちこぼれグループ、または、グループ内の落ちこぼれが出てくるのを注意する。

エ すべての種目の最終目標を試合において計画したのであるが、基本から応用、審判法、試合運営まで、天

 

 

 


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