教育福島0085号(1983年(S58)10月)-028page
候の面などから考えてみて、時間的にやや困難な点もあった。
オ 評価は適切に行えたか。特に能力の低い生徒の努力の程度をいかに評価するかなど、今後に残された課題である。
今後更に、選択制授業を充実させていくための考慮すべき点としては、
ア 施設・設備の充実が必要である。
イ 指導者を複数制にしていきたい。これは、学校全体の教育カリキュラム、時間割の関係、教師の定数などからみて、なかなか困難な点があるように思われる。
ウ 設定する種目数を増やして、多様化する生徒の要望に応じていきたいこれは、施設・設備、並びに、指導者の関係などの問題でむずかしいと思われる。
このように選択制授業については、種々の問題点もあるが、十分に検討を加え、個々の生徒の体力、技能を伸ばすとともに、自主的に楽しく授業に参加する生徒をつくり、生涯スポーツの基礎としての体育授業が一歩でも前進するよう努力して行きたい。
今後、新しい方向で生涯スポーツとしての有効性の高い「これらの種目」が、授業の中でどしどし取り扱われるよう、また、生徒の期待しているものは何か、生徒の気持ちを探り、しっかりと受けとめて、指導や活動に組み込んでいくよう努めていきたい。
商業
簿記会計1)の指導工夫と実践
福島県立郡山商業高等学校
教諭 深谷好男
商業高校でなにを勉強するかという問に対し、生徒からは「簿記」「ソロバン」という答えが最も多い。入学の動機・能力が多様化しているものの、生徒が簿記会計を重視していることに変りはない。
簿記会計1は、簿記会計2)を含む、簿記会計科目群の基礎となるものである。そのため、これを十分に指導し、理解させることは、以後の学習の深化に大きく影響するものである。それだけにこの簿記会計1をいかに効果的に指導するかが大きな課題である。生徒に興味を抱かせ、積極的に授業に参加させるための一方法として、私が実践したことがらの概略を述べてみたい。
一 指導の工夫と実践
(一) 指導内容の精選
各授業担当者との協議の上、年間指導計画を基に指導内容の精選を行い共通の意識で指導にあたっている。
(二) 進度表の活用
1)進度表(表1)は年間指導計画の細案として用い、その作成に当たっては学習内容の体系化と指導内容の構造化を考慮し、同時に単元、小単元の指導上の重点項目を盛り込むよう留意した。
2)あらかじめ進度表を作成することにより、一時間毎の授業に余裕をもってのぞむことができ、生徒の理解度にも細かく配慮することができる。
右側の実施欄との対比により、予定と実際との指導状態の差異を容易に知ることができ、今後の指導のあり方や進度について迅速な対応ができる。
3)生徒にはあらかじめ、予定の欄を印刷して配布する。これにより理解度の早い生徒の予習の指標となる。また、必ずしも教科書の順序通りの指導とならないため、次に何を学ぶのかということを、あらかじめ生徒に知らせることにより、生徒の学習に対する心構えをつくるうえで効果的であった。
(三) 豆テストによる指導
生徒に興味を抱かせるための一つの方法として豆テストを実施している。
豆テストは、知識の定着を図るための到達度評価の手段として用い、結果を学期末評価の手段としたり、理解度の低い生徒への直接的な指導材料にはしない。全問正解でなくても、出来た部分を賞め、その後の個別指導の材料とする。そのためには、豆テストの出題内容を前時間に学習した範囲にとどめ単純かつ基本的なもののみとし、クラスの
表1 進度表(一部) 教科名簿記会計1)
(予定)
○決算整理事項に関する内容については前の各々の章でポイントのみ指導してきたのでこの章で復習をかね十分時間をとり理解させる。
○8桁精算書の作成をよく理解させれば元帳締め切り、B/SP/Lの作成もスムーズに理解させれるだろう。
(実施)
○各章毎では大部分理解していたが、この章で改めて復習してみると忘れてしまっている者が多く、定着していない。
○貸倒償却についての理解度が他に比べて低い
○8桁精算表については、工夫して指導したものの2度目の説明でやっと理解したようだ。