教育福島0085号(1983年(S58)10月)-029page
八〜九割の生徒が満点を取れる程度にするよう配慮する。
ホームルーム担任をしたクラスでは毎日のSHR時にこれを実施し、約一ヶ月間で生徒一人一人が積極的に取り組むようになり、クラス全体の雰囲気も高揚し、大きな成果をあげることができた。
付随的な効果として、授業開始直後に実施するため、授業に対する緊張感を持たせたこともみのがせない。
(四) 授業展開
1)学習内容を基礎的・基本的内容に精選する。一時間の中で学習する重点事項を一〜二に限定する。
2)説明・板書は簡潔にし、学習内容をしっかりとらえさせ理解させる。説明をする時間は二十五分〜三十分位を基準としている。
3)簿記会計1は、記帳技術に習熟させ記帳を通して指導することが大切であるので、必ず例題、練習問題等を学習する時間を二十分位確保する。説明だけでは、簿記の原理や知識・技術を定着させることは難かしい。
4)個別指導には、前述3)の時間をあて机間巡視により生徒の理解度、授業への参加度等を把握し細かく指導する。
5)個別指導の一方法として質問表を利用している。質問表を利用すると発言力の乏しい生徒も細かい内容まで質問し、一人一人の生徒がどの段階でつまずいているか知ることができ、指導内容が明確になる。また、生徒が理解できない点を知ることができ、指導の改善にもなる。自己評価の欄は生徒に自主的に記入させているが、生徒は自分自身に素直に真面目に記入している。教科の評価には入れないが、授業展開の良し悪しの判断と生徒の学習意欲を知る上で参考となる。反省は、教師の指導に対する不満や生徒自身の授業に対する気持を素直に述べている。理解の遅れている生徒ほど、よく教えて欲しいと真剣に訴えている。生徒の実態や気持を理解したつもりで授業を展開することが多かったが、質問表を利用することにより、生徒の個性や行動に目を配り、個別指導を中心とした授業展開を進めることができるようになった。なお、この質問表は毎授業毎に記入し、授業改善の資料としている。質問表の利用により、授業中の質問も活発になり、動きのある、活気のある授業を展開できるようになった。
二 8桁精算表の指導
簿記会計1)を学習する中で、つまずきやすい内容がいくつかあるが、8桁精算表の作成もその一つである。その理由としては、
1)日常取引と異なり、抽象度が高い。
2)決算整理事項に関係する内容は各章で学習しているが、ここで総復習することになり一括して記帳しなければならない。
3)取引→仕訳→元帳への転記のサイクルは理解しているが、それを表と関連させて記入し処理することに結びつかない。
4)試算表・貸借対照表、損益計算書を個別に学習してから相当期間経過しているため理解度が簿れている。などを挙げることができる。
この指導についてはいろいろ工夫されているが、私の場合は、次のよう順序で説明している。
1)決算整理事項に関係する内容の仕訳を徹底して理解させる。
2)仕訳の一題一題を、整理記入欄に記入させることを徹底して指導し、記入
表2 学習のまとめの資料