教育福島0085号(1983年(S58)10月)-032page
三年生二名、四年生一名、五年生三名計九名で性別では男子三名、女子六名である。
知能指数では、四十台一名、五十台五名、七十台三名で、精神発達年齢では三歳三か月から七歳九か月の間にはいっている。
また、抗てんかん剤を服用している児童は二名、弱視と精神薄弱をあわせもつ児童が一名いる。
学習能力では、ひらがなをようやく読み書きできる程度から、普通学級の三年の国語の教科書を、むずかしい漢字にはかなを付けながら読むことができる程度の児童も在籍している。算数能力では、たし算を具体物と対応しながらようやく学習する児童から、一位数で割る程度の割り算をこなすなど、能力差の大きい集団である。
多くの児童は、算数と国語の学習を好まないことが多いが、これは、能力に適合しない指導内容や方法であるためで、この点を改善すれば、積極的な学習参加と、実生活に結びつく実りある学習が期待される。
以上が本校児童の実態の概要であるが、体育、音楽をはじめ技能教科を好む現状から、知的教科の指導内容、方法を研究改善する必要があり、これらは、特殊学級に共通した課題ともいえる。
三 教科別の指導方針
(一) 指導計画立案にあたっては、生活単元学習、系統性を重視した教科別学習、ドリルを中心とした学習の三つの類型を、ミックスして計画する。
(二) 能力差があるので、能力に合った教育内容および教材等を準備しなるべく、同教材異程度の学習をすすめる。
(三) 児童には、学習のねらいが、わかり、よろこんで学習の積み重ねをして行くとともに成就感を味わわせたい。
(四) 児童の発言を大事にし、適当な競争心をおこさせて行く。
(五) 実生活にむすびつき、実際に役に立つ学習内容を精選する。
(六) 教具は児童の実態に即して工夫され、できるだけ人数分を確保する。また、共通で扱う資料の準備と活用を工夫する。
四 教科別の指導の事例
(一) 国語(読解指導)
1) 教材について
幼ないころから耳にしたり、絵本などで見ている日本の昔話や民話には、児童は興味をもっているので、星印教科書(中学部編)および二年国語(光村)の教材で扱われている「かさこじぞう」をとりあげた。
登場人物のおじいさんの無償の行為は、子供にしみじみとした共感を与え貧しい中にも、善意を失わずに生きる姿は、吹雪の中の「いろり」の火のようにほのぼのとしたものがある。
2) 教材文の工夫
能力に応じた教材文を準備する。このことが、学級での一斉読みを可能にする。
すなわち、同教材異程度の扱いをする。児童の実態に合わせ、実生活に役立つ漢字を精選し、国語主任等の指導を得ながら、原稿用紙に教材文を書いて自作教材とする。
二つのグループに分けて、本学習では使用したが、場合によっては、教科書そのものを使用することも考えられる。
3) 指導の展開(三場面の読み取り)
めあての確認の段階では、白ぬきカードを利用し、各場面の範囲をしっかりとおさえて読みにはいる。
内容の追求の段階では、時間のうつりかわりをおさえ、さし絵と半具体物(おじぞう様)で、文章に即した内容をとらえさせる。
また、手ぬぐいや、かさを利用して一対一の対応をさせながら進めて行くことは、児童にとって大事な活動となる。
最後のまとめと発展の段階で、劇化してさらに定着をさせるようにした。
4) その他
同じ星印の教科書の中に「つるのおんがえし」がある。
これは、絵話であるので、さし絵を描いたり、教科書のさし絵を印刷しておいて紙しばいの順序をつかんだり、全校集会で紙しばいを実演して、全校生に披露できる。
(二) 算数(かけ算九九の指導)
1) 教材の工夫
かけ算九九の指導は、精神年齢が八歳程度からはじめるのがよいといわれるが、指導方法の工夫によってはそれ以前でも学習が可能である。
二年生の算数の指導で、五の段の九九がはじめに出てくる。
特殊学級の指導では、生活の具体物に対応させながら、学習を進めて行くので、五の段の九九の指導を教科書通りの扱いとすると、五デシリットルの水を測り目もりを確認しなければならない。
また、一当たりの量を測る操作も困難である。
表1 具体例