教育福島0085号(1983年(S58)10月)-033page
皿の上にりんごが三つあり、その皿が四つ分ではという問題もあろう。しかし、一当たりの量が変わるものでは理解ができにくい。
一当たりの量が変わらないもので指導することにより、学習事項が定着し実際に応用して、生活に活用できると考える。
2) 一当たり量の活用例(前ページ表1)
3) 指導の一例
教師 かえるがいましたよ。おへそは
児童 ない
教師 ないということは○ですね。かえるが五ひきいると、へそは
児童 ない
教師 5×0は0になりますね。
以下略
特殊学級の学習指導
(中学校・作業生産学習)
会津若松市立第二中学校
教諭 斎藤哲二
はじめに
最近の特殊学級(精神薄弱)の生徒は、どこの学校でも障害が多様化し、低IQの傾向が見られるようになってきている。
生徒の行動や、学習への取り組みを見ても、教科学習での指導強化よりも日常生活面での習慣やきまりの指導が先行しなければならない。また、一人一人の生徒の行動様式が異なるので、その生徒にあった指導の手だてを工夫し自立から自律につながるような学習指導がより一層必要ではないかと思われる今日この頃である。
本校の学習指導の中で、特徴のある作業生産学習を中心にして、実態を記してみたい。
一 本校特殊学級の概要
(一) 沿革
昭和三十四年四月、精神薄弱特殊学級一学級が開設されこれを職業学級と呼称する。その後四十七年、六学級六十八名をピークとし、生徒数は減少してきて現在は三学級二十六名、特殊学級担当者四名で指導にあたっている。
(二) 生徒の実態
本校の生徒は、若松市内の小学校九校から入学する生徒が中心で、自転車通学六名、バス通学七名と遠距離からの通学生が多い。生徒のようすは表のとおりである。
二 本校の教育課程
前記生徒の実態を考慮しながら、次のように編成している。
(一) 教育目標等
1) 学校の教育目標
・確かな学力をもつ生徒。
・豊かな情操をもつ生徒。
・正しい判断力をもつ生徒。
・たくましい体力をもつ生徒。
2) 学級の目標
・なにごともがんばります。
・はっきりはなします。
・きまりをまもります。
・からだをじょうぶにします。
3) 実践事項
・・始めたことはあきらめずに。
・仕事はていねいに最後まで。
・・返事、報告はきちんという。
・自分のいいたいことを話す。
・・先生のいいつけを守る。
・約束を破らない。
・・天気のよい日は外で遊ぶ。
・入浴や着替えをきちんとする。
(二) 編成の基本方針の概略
本校教育目標の具現化を目指し、盲学校、聾学校及び養護学校小学部・中学部と小学校、中学校学習指導要領の趣旨、県の重点施策、市の努力目標をふまえて、生徒の実態に即した指導ができるよう編成する。
(三) 道徳教育の取り扱いの概略
生徒の実態から道徳の時間を特設せず、日常生活の身近な問題を中心に、各時間、各場所で、生徒間と教師の人間関係を深めながら、自律的、自主的な生活態度の育成を図るようあらゆる機会をとらえ指導する。
(四) 各教科、特別活動等の週時数 (表2)
表1 生徒の実態
表2 各教科、特別活動等の週時数
三 作業生産学習の年間計画と実践
生徒達は知的教科の学習よりも、総合的な学習訓練のできる作業生産学習の指導を充実することにより、将来の職業生活に必要な知識、技能、態度を