教育福島0085号(1983年(S58)10月)-040page

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わたしの研究実践

 

わかる授業をめざした評価

 

相馬市立飯豊小学校教諭 星和彦

 

はじめに

 

一人一人の児童に自信や満足感を与える授業のあり方、また、個々の児童をその能力や適性に応じてできるだけ伸ばすための教育評価のあり方が、今日、強く求められている。

学習指導の質的転換を図るには、児童の学ぶ姿に、思考、作業、表現などの時間的ゆとりと、協力的で温かな人間関係や、「わかる」「できた」といった自信や満足感などの精神的ゆとり「しっかり学ぼう」とする主体的学習態度の高まりがなくてはならない。

こうした学習を展開するには、目標の明確化と内容の精選及び指導の重点化を図るとともに、創意をこらした多様な指導方法、指導過程を取り入れ、評価を指導過程の中に位置つけ、個別指導の徹底を図らなくてはならない。

次に、「学習目標の設定と目標分析」「学習過程と形成的評価」 「主体的な自己たしかめ」の三つを中心に、算数科で実践した例について述べてみる。

実践例

一、実施学年 五年一組(二十八名)

二、単元名 四角形と三角形の面積

三、単元の目標

(一) 基本的な図形の面積が計算によって求められることを理解させ、面積を求めることができるようにする。

(二) 基本的な図形の求積の仕方を工夫させて公式を導き出させるとともに論理的な考え方を育て問題解決の能力を伸ばす。

四、準元の構造(構造図は省略)

中心観念

(一) いろいろだ基本的図形の面積は、既習の図形に帰着させると求積できる。

(二) 基本要素

次の四つを押さえた。1)底辺と高さ 2)求積公式 3)求積公式の活用・定着 4)多角形の面積の求積

五、関連と発展

前学年で、正方形や長方形の面積の求積を通して、面積の概念やその単位及び、求積公式つくりを指導した。

本単元では、基本図形、及び一般の多魚形の面積の求め方について指導し基本的図形の面積も計算によって求められることを理解させる。

六、目標分類表(資料1)

七、児童の実態(資料2)

八、目標分析表(資料略)

九、指導にあたって

面積公式つくりを通しての数学的な考え方の育成と面積の求積能力を伸ばすことが中心的ねらいである。そこで「底辺」「高さ」など、教えるべきことを既習事項との関連で扱うなど、単元のねらいが十分達成できるよう指導計画を作成した。(資料略)

また、机間巡視やサインボックス及び評価カード等により、評価とフィードバックが能率的、効果的にできるようにした。更に、自己たしかめカードにより、児童の主体的、協力的学習態度の育成を図った。

十、木時の目標

三角形を平行四辺形や長方形に変形させて面積を求め、三角形と変形図形との関係から三角形の面積公式を導き出させる。

(一) 中心目標

三角形を平行四辺形に変形して面積を求め、三角形の面積公式をつくり出すことができる。

(二) 下位目標

1) 三角形を平行四辺形に変形することができる。

2) 変形した図形と三角形の関係を押え、三角形の面積を求めることができる。

3) 三角形の面積公式をつくることができる。

十一、指導過程(資料略)

十二、授業の実際

前時、平行四辺形の求積公式の活用において、底辺と高さについての理解が十分でなかった子がいたので、三角形の底辺と高さについて復習した。

下位目標1)では、四名しか見通しをもてなかった。そこで、グループ思考によりフィードバックさせた。2)では黒板に掲示した図形の操作により理解させた。3)では、五名の子に形成的プリントを与え、助言を加えながら自力解決へと導いた。早く解決できた子には種々の変形方法を考えさせた。

本時の自己評価と事後テストの結果をみると、どの子も意欲的に取り組んでいたことが分かる。ただ、学習内容

 

 

 


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