教育福島0085号(1983年(S58)10月)-042page

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グループ研究

 

家庭科の体験的学習の試み

 

県南地区家庭科研究グループ

 

一 研究のねらい

新学習指導要領のねらいのひとつとして「生徒の個性や能力に応じた教育」の重要性が指摘され、さらに、家庭科にあっては、実践的、体験的学習を重視し、学習効果を高めることが大切とされている。このような事から、これまで一般的に講義形式で短時間に展開してきていたと思われる「家庭経営」領域について、次のような指導のくふうを試みることにした。すなわち、生徒の能力と創意くふうを生かして、自主的に授業に参加させていくために実践的・体験的学習法としての「ロールプレイング」を中心に、「ケーススタディ」等の学習方法を取り入れ、生徒の興味・関心をどの程度高めることができ、また、どの程度、学習効果を上げることができるかを確かめるため、この研究に取り組むこととした。

学習内容は、基礎科目である家庭一般の「家庭の機能と家族関係」、専門科目の家庭経営・住居の「家庭生活と家族関係」をとりあげた。

二 指導法についての研究

最近のように家庭生活が物質的に豊かになり、スピード化され、家庭の機能の社会化が進みつつある中では、人間関係の大切さを捉えさせ、情緒的表現力や適応力をつけていくことが必要とされている。その指導法として、

「ロールプレイング」や「ケーススタディ」の役割は大きなものがある。

(1) ロールプレイングとは、「役割演技」という意味で、生徒自身が父親や母親あるいは他の人物になりきって劇を演ずる。演ずることで多くの役割を体験し、自分の立場や相手の立場を理解し、人間関係の調整について学習するものである。

(2) ケーススタディとは、事例研究のことである。新聞、雑誌、小説などから家庭や家族の問題を扱った例を取り上げ、問題を分析していくもので、討論形式とレポート形式がある。

三 研究計画

(一) 指導計画及び細案の立案

(二) 検証方法の研究……一群法による

(三) 検証授業の研究過程

(1)実態調査1)生活環境2)意識3)知識

(2)検証授業実施、考察、まとめ

四 研究実践の概要

(一) 仮説の設定

『生徒の実生活の中で身近かに感じられる家族の役割と人間関係について、生徒が主体的に取り組むよう、ロールプレイング法及びケーススタディ法で展開するならば、生徒の家族意識も深まり学習効果も高まるであろう』

(二) 授業の実践

(1) 家庭一般「家庭の機能と家族関係」について(図1・2)

(ア) ロールプレイング展開後の生徒の感想

A 見ていると自分が言われているような気持ちになってきた…

B 家族の役割を考え協力すればよい家庭ができるのだと思った。

C 家族の大切さ、話し合いの大切さがわかった…

D 家族の心の動きなど表現できなかった…

E いずれも一応問題は解決されたが実際はそううまく行かないだろう…等

(イ) 考察

A案(実際の出来ごとを題材とする)B案(親子関係について生徒が創作)C案(現代社会における家庭の問題について生徒が即興創作)の三案によるロールプレイング展開方法を実施してみると、一般に文や話し言葉などの表現力に乏しく、物事を発展的に深く考えることの不得意

 

図1 指導計画案

家庭の機能と家族関係………5時間

 

 

 

 


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