教育福島0085号(1983年(S58)10月)-046page

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教育センターから

 

講座の実習や資料が授業にどう生かされているか

 

−家庭、技術・家庭−

 

はじめに

各学校では、人間性豊かな児童生徒の育成を図り、国民として必要とされる基礎的・基本的内容を身につけさせるために、家庭、技術・家庭科においては、児童生徒の主体的な実践活動を通して、生活に必要な技術を習得させるとともに、家庭生活や社会生活の充実向上を図るために必要な資質を養うことをねらいとして、指導が行われているところである。

このねらいを達成するうえで、家庭、技術・家庭科は、実践的、体験的学習を行う教科として、この教科によせられる期待はますます大きなものになってきている。

ついては、従前の指導に創意を加え充実させていくことが期待されるところである。

なお、この教科は、領域が多岐に渡り、なおかつ、家庭生活や社会生活に必要な知識や技術は時代の進展とともに変化するものである。その変化に対応できる基礎的・基本的なものを習得させていくためには、担当者の絶えざる研修が必要と思われる。

当教育センターにおける家庭、技術・家庭講座は、この教科の今日的課題並びに、指導上の諸問題を分析し、それらに対応できるよう講座内容の充実を図り、先生方に、実践的、体験的研修をしていただけるように計画しているところである。

次に、各講座について、主なねらいと、講座の実習や資料が授業にどのように生かされているのか、その概要を紹介する。

 

一 小学校家庭講座

 

(一) (一次)

「被服材料の性能に関する実験」では、繊維鑑別を取りあげた。それは、被服材料を構成している繊維の科学的性質を知ることがねらいである。

繊維鑑別の技術を実験を通してみがくとともに、色料による繊維の染色度のちがいを見る標本は、第5学年の「日常着の着方と手入れ」、第6学年の「日常着の手入れと工夫」等の指導事項に活用されることを期待したい。また、燃焼や薬品による鑑別法の教材化についても検討されたい。

「エプロン及び小物製作の指導法」では、先生方の被服製作技術の向上と縫製の合理的な方法などを、実習を通して習得しようとするものである。縫製の合理的な方法を取り入れた作品を提示することにより、児童の製作意欲を高め、積極的な学習が展開されるのである。

(二) (二次)

「鶏卵、でんぷん類の調理」では、「卵料理」と「じゃがいも料理」を取りあげ、調理指導法の改善を期するのがねらいである。単に物を作り食べる調理実習から脱却し、過程を重視した計画、購入、実習、整理の各段階における学習形態のあり方、消費者教育との関連など活発に検討された。

特に、グループ学習における個の生かし方は、各学校において大いに参考にされ、指導の改善に役立てられるところである。

 

二 中学校技術・家庭講座

 

(一) 男子(一次)

「光弾性用構造模型の製作」では、透明エポキシ樹脂板で、「いす」の模型を作り、この試験片に荷重をかけ、荷重によって変化するしま模様をOHPで投影するものである。加工学習をすすめる場合、施設設備の問題や材料の購入、個別指導のむずかしさなどの理由から、すべての生徒に同じものを作らせてしまうことが多い中で、いすの構造模型が、「荷重と構造の強さ」の観点から、生徒に木質的なくふうをさせる設計の指導に活用されている。

「SCRを用いた調光装置の製作」では、電力制御の新しい考え方を、実際に装置を作り、各種の測定器を活用して習得するものである。

抵抗制御に慣れていた先生方には、全く新しいものであったが、助言者の適切な指導によって、教材化への具体的な方法までも検討された。

いわき市の数校では、電気の新しい題材として利用されようとしている。

「土の物理性、化学性」では、栽培学習に、科学的な手法を用いた比較実験を導入する提案である。身近かな材料を用いた各種の実験装置は、多くの

 

 

 


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