教育福島0085号(1983年(S58)10月)-047page

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学校で活用されている。

「一穴ポンチの製作」では、先生方の手仕上げ技術の向上をねらいとしたものである。

図面をたよりに、材料を準備し、工程を計画し、部品を加工しながら組み立てる中で、「生徒には簡単に言うが実際にやってみるとなかなかむずかしいものだ」という反省がきかれた。

また、完成品を手にされている先生方の顔の表情が印象的であった。

「給送、選別装置の製作」では、今年度はじめて数値制御工作機械を取り入れ、この機械で部品を加工し組み立てるものである。新しい技術にふれることによって、あらためて手仕上げの意味を考えることをねらいとした。

作品は、動く模型の製作の教具として活用されている。

(二) 男子(二次)

「木材加工領域の題材開発とその指導法」では、指導内容を満たす作業を設定し、目標行動の分析を行う。更に作業を実施して分析された目標行動の妥当性を検討するものである。また、分析表をもとにした学習コースの設計や授業における評価のしかたなど、具体例をもとにした研修であり、各学校における今後の研究成果が期待されるところである。

「トランジスタ増幅回路の製作」では、バイアス回路の設計と製作にしぼり、電気2)の指導法の改善を図るものである。ややもすると、プラモデルの組み立てになりやすい電気2)の領域を基礎的、基本的なものに重点をおいた指導法は、これから計画される電気2)の指導に、製作品もふぐめて大いに活用されることが予想される。

なお、十一月に実施する「金属加工領域の題材開発とその指導法」、「金属の理学的性質」については、金属丑を選択していない学校が多い現状の中で、生徒の発達段階等から、加工学習の必要性を重視し、新しい題材とその指導法を提案して検討する。「バンケル型ロータリー機関の作動模型」では電子計算機を用いた設計の手法、数値制御工作機械による加工を取り入れ、新しい技術の動向をながめるとともに製作品は機械2)の教具として活用することをねらいとしている。「内燃機関の性能」では、新しく設置した内燃機関性能総合試験装置を用いて、熱勘定をもとに内燃機関を分析する。

(三) 女子(二次)

「縫製に関する実験」では、縫いつれの実験を取りあげ、縫い目の美しさを実験を通して明らかにした。実験の結果、従来の縫い目に対する固定的な指導法、特に糸密度の高いたて地に縫いつれが生じ、布、糸、針、針目の相互関係による縫製方法を見直す実験であった。単に物を製作するだけでなく被服材料と縫製の相互関係を科学的な側面からとらえることの必要性を確認した。この実験結果を活用し、各学校において、質の高い被服製作の活動が展開され、製作活動や完成の喜びをじゅうぶん味わわせるとともに、日常の衣生活に応用、発展させることが大切である。

「技術・家庭科の指導計画とその展開」では、各領域の相互の関連を検討し、履習領域を選定する場合の手順や指導における重点のおき方等、演習や協議を通して、適切な指導計画を作成することがねらいである。

「電気機器の取り扱い」では、技術系列から、特に家庭系列と関連の深い電気領域を取りあげ、 「電熱器具のしくみ」や「電動機を備えた家庭電気器具のしくみ」を研修することにより、電気機器を安全にしかも適切に使用する技術を高め、女子教員の苦手な領域について自信をつけていただけるようにしている。

「食品の調理上の性質と調理」では豚肉の調理上の性質を明らかにし、ハンバーグステーキの副材料の割合などを分析しながら、調理の科学的な根拠をさぐっていくことにしている。

 

三 高等学校家庭講座(被服)

 

この講座は、「被服」と「食物」を隔年ごとに実施している計画である。

「被服材料の性能に関する実験」では、布地に適したギャザーの分量を、各種の被服材料を用いて実験する。実験結果をもとにして、各種の被服材料とギャザーの分量関係を検討し、「家庭一般」におけるワンピースやジャン。八一スカートの、ギャザーの適正分量の設定並びに被服材料を選択する技術が高められるように計画している。

また、被服材料の保温性、剛軟度等の測定を通して、被服材料の性能に関する専門的な事項について理解を深めるとともに、試験方法に関する技術を高め、指導法の改善に役立てていただくようにしている。

なお、被服学習が単なる被服製作に終止することなく、生徒の発達段階に即して、科学的な衣生活の管理に発展させていくことが大切である。

「服飾デザイン」では、各種の表現法を取りあげ、描画及び、その他の素材によって表現する場合に必要な基礎的事項を研修し、表現技術の向上をねらいとしている。

また、着用目的に適合した服飾デザインを工夫させる指導のあり方についても検討していきたい。

「染色実習」では、型染めの実習を通して、色料に関する専門的事項を研修し、新しい素材を取り入れた服飾手芸の指導法を検討していく。

おわりに

本講座においても、講師、助言者の先生方のご協力と研修生の非常に熱心な研修意欲に支えられ、所期の目的が達成されつつある。

これらの研修成果が、各学校に還元され、各学校における家庭、技術・家庭科教育の充実に寄与できることを願うものである。

 

 

 


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