教育福島0086号(1983年(S58)11月)-030page

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グループ研究

 

「現代社会」の指導計画と展開

 

「現代社会」研究グループ

 

はじめに

 

生徒の学習到達度の実態をふまえて「現代社会」の授業をねらいに即してどう具現化しうるかを課題として研究実践に取り組んできた。特に、本研究は、現代社会の学習を通して、中学校までに得た知識を基礎に、社会の諸事象についての思考力や判断力を高め、興味・関心をもたせるとともに、社会科の選択科目へ向けて積極的に学ぶ意識と意欲を高め得るような授業展開について研究を試みたものである。

 

一 生徒の実態

 

昭和五十七年度入学生の入試における社会科の得点は約八割程度の正答率を示しており、中学校段階で求められる用語などは十分把握しているにもかかわらず、社会の諸事象に対する関心度や思考する態度などについては、発達段階に相応する力が十分育成されてきていないのが現状である。

 

二 研究の概要

 

(一)指導計画作成にあたって

指導計画作成にあたっては、各章ごとにねらいを構造化し、内容を精選、具体化し、社会生活における諸事象へ適切に対処できる思考力を養うように考慮した。

(二) 内容精選の視点−教材内容の構造化−

教材内容の視点の設定のしかたにはいくつかの方法が考えられる。一般に生徒が学習する視点、すなわち教師の側からは、何を身につけさせるかを考えることである。そのためには、学問体系に基づく研究の成果と教材内容の徹底的な分析が必要である。本研究では、特に「教材内容の分析」に焦点をあて、小項目ごとに、構造化を行なった。

(三) 授業の実施にあたって

現代社会の授業の展開においては、知的理解を基礎に、自ら進んで社会生活の中におこる諸事象について、思考し、判断したり、対応する能力を養うことをねらいとして、図1に例示したように学習内容を構造化した。

次に、図1にもとづいて、授業の展開例を示したのが図2である。(紙面の都合上、予想される反応や資料などを省略し、発問・指示の展開のみに止めた。)

以上、授業展開のねらいである「態度・関心」を中心に、検証を行なったがおおよそ、次の結果が得られた。

1)知識理解のみを問う部分は八割余の正答を示した。

2)グラフや図表などの読みとりなどの、思考力や判断力を試す問いについては、四割弱の正答しか得られなかった。

3)、右の1)や2)を土台にしたり、既習の資料などを例示した興味・関心や態度についての問いは、正答が二割弱という結果に終わった。

 

図1 学習内容の構造図

 

 

 

 


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