教育福島0087号(1983年(S58)12月)-017page

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十一 埋蔵文化財保護の現況

 

(一) 遺跡周知事業

 

県内の遺跡の所在調査は、いままでも継続して実施してきたが、今年度と来年度の二カ年事業として、全遺跡のチェックをすることとなった。

事業内容としては、遺跡台帳カードの作成、遺跡の範囲を点表示から面表示にすることなどである。その上で、二万五千分の一の「福島県遺跡地図」を来年度末刊行することになっている

 

(二) 指定文化財管理事業

 

一般に文化財パトロール事業と呼ばれているもので、国県指定の重要文化財と重要遺跡等を年二回巡視するものである。

このため、「福島県文化財保護指導委員」に、二十一名の方を委嘱して、六百九十か所を本年度点検している。そこで指摘された、老朽化、・破損・滅失・盗掘などの事態については、迅速に対応するよう努めているところである。

 

(三) 埋蔵文化財保護体制の強化

 

遺跡の保護は、現状保存をたてまえとしているが、各種開発に伴う保存協議の結果、やむを得ず緊急発掘調査を行うことが多い現状である。

遺跡の発掘調査は、県と市町村がそれぞれ分担を定めて対応しているところである。

本年度は調査体制が弱いとされる市町村で、専門職員を採用して積極的に対応するというところが増加したのは埋蔵文化財保護体制の強化という面で喜ばしいことである。会津若松市では埋蔵文化財担当をもうけ三名の専門職員を配置した。三春町では新設の歴史民俗資料館職員に考古学専攻者を一名採用した。他に西郷村、新鶴村でも専門職員を嘱託で採用している。また、郡山市には、「財団法人郡山市埋蔵文化財発掘調査事業団」が発足し、五名の調査員を中心に調査が進められている。

いわき市でも、既設の財団の埋蔵文化財調査係が四名定員増で計九名となった。

 

(四) 発掘技術者の研修

発掘調査の大規模かつ長期化に伴い調査員の不足、整理のための技術要員の不足はなかなか充足できない現状にある。そのため各種の研修が実施されている。

国の埋蔵文化財センターの研修には本年度今までに次の課程の受講者があった。一般課程三十四日間・木宮町歴史資料館山崎義夫。遺跡保存整備課程十五日間・磐梯町教委山野憲雄。保存科学応用課程十五日間・県文化センター遺跡調査課福島雅儀、中近世遺跡調査課程十一日間・いわき市教育文化事業団吉田生哉、郡山市教委相原秀郎。

県教育委員会による「第十一回福島

 

表9 福島県文化財保護審議会委員

表9 福島県文化財保護審議会委員

 

表9 福島県文化財保護審議会委員

発掘技術者講習会(現地研修参加者)

 

 

 


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