教育福島0087号(1983年(S58)12月)-029page
を一目で確認できるようにするため、地層、岩石に関する環境地図を作成した。作成にあたっては特に次のような点に配慮した。
○(三)で述べたスライドとの関連を十分にはかるようにした。
○只見町の地図上に観察地点をしるすとともに、その地点の正式な地名、及びその付近の具体的な様子などを入れ、実際に観察に出かけたとき、その地点を発見しやすくした。
○観察地点の場所だけでなく、その地点の地層、岩石の具体的な特徴も、環境地図としてできるだけ載せるようにした。
(五)地層、岩石観察手引き書の作成地元只見町の地層、岩石観察をより充実したものとするため、(一)〜(五)の研究の成果をもとにして、次のような内容の手引文書を作成した。
○小学校及び中学校の、理科における地層、岩石教材の位置とその内容、及び地層、岩石教材に関する小学校と中学校との関連を再確認した。
○一般的な地層、岩石の観察方法や観察の際に注意すべき事項、及び地層の主な形状とその特徴についてもふれた。
○地元の主な観察地点を図上に示した地図を載せるとともに、その地点に対応するスライドがどれであるかを明確にするため、地図上の記号と対応させたスライド写真を入れた。
○スライド写真をそのまま載せただけでははっきりしないため、写真を一枚ごとに図解した。
○各観察地点の地名、周囲との位置関係、地層、岩石の特徴、及び観察の際その地点ではどのような指導事項に重点をおいたら効果があるかなどを述べ、その地点を観察する場合特に留意すべき事項にもふれた。
○安全指導の面で問題があると思われる地点については、どのような点で問題があるかなどを具体的に述べるよう心がけた。
○只見町の三地区(只見地区、朝日地区、明和地区)についての一般的特徴にも簡単にふれた。
おわりに
この研究を進めてみてまず感じられたことは、地層)岩石教材として有効であると思われる地点が地元にも予想外に多く存在したということである。
地元の地層、岩石の歴史や日本全体の中の位置及び地層、岩石そのものに対する詳細な研究等、地層、岩石に関する専門的な側面の研究を進め、さらに、このような教材をより良く授業に生がすための研究を今後の課題としたい。
(代表・只見町立明和中学校 教諭佐藤幸一)
資料1
スライドにもとづく指導の例
D 布沢D地点
(1) 観察場所
只見町大字布沢布沢分校向い
(2) 地層の特徴
デイ岩質の茶色つぼい層と、内部が青緑(表面は茶かっ色となっている。)の層が交互にたい積している。これらは非常にくずれやすく、青緑色の層は直方体に割れやすい。また地層全体が南北方向に少しかたむいている。
地層全体を少し遠くから見ると層状に積み重なっているのがよくわかる。スライドNo.明和Dの2において、c、e、fは内部が青緑の岩石の層である。9は、地層がくずれてたまった部分である。a、b、dの部分はたいせき物が固まっておらず、くずれやすい。
(3) 観察の重点化
○ 地層全体としてのたいせき物の重なり方
○ 地層の構成物質
○ 地層のかたむき
○ 他地点(布沢E地点)の地層との比較から地層の広がりにについて
○ 風化
(4) 留意事項
○ 地層をつくっている物質の表面だけでなく内部もよく観察させる。
○ 遠くからの全体的な観察も十分させる。
○ 他地点の性質の似た地層との比較もさせる。
スライドNo.明和Dの1
スライドNo.明和Dの2