教育福島0087号(1983年(S58)12月)-031page

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1)スライド学習のねらい、目的(ア)授業の展開に変化を持たせる。(イ)視覚に強く訴え印象づける。(ウ)写真で実物を見せることにより、具体的に理解させる。(エ)実習や家庭での農作業の体験記憶をよみがえらせる。(オ)未知、末見聞の情報を写真を見せることにより的確に伝える。(カ)写真を見せることにより、言葉での伝達では難解な事項を「やさしく」伝えることができる。2)スライドの作製−効果的な教材選びという観点から、手べくりのスライドを作った。実習や研究、見学の場面で撮影し、授業に使いやすいように編集した。3)スライド学習の実践−効果的なスライド学習の方法について、研究した。 (図2)

(三) わかりやすい実験を取り入れた授業の改善(石川烙治)

講義ではあまり意欲を示さない生徒でも、実験には著しく興味を示す生徒が多い。わかりやすい実験を効果的に行い、基礎的、基本的事項を体験を通して定着させ、効果的な授業に発展させることをねらいとした。

1)実験を取り入れた年間計画の作成(ア)学習内容を基礎的、基本的事項に精選し、座学と班別実験および家庭における実験とを効果的に組み合わせる。(イ)座学では特に身近かな食品とのかかわり合いや、その応用、加工技術との関連等に留意する。(ウ)実験では食品に関連が深く、結果の判定しやすい実験を選択する。2)実験カードによる実験(班別実験カード、家庭での実験カード、休業中の課題実験のためのカード)。3)座学と実験の組み合わせによる授業−座学では基本的事項を身近かな食品との関連で考えさせ、動機づけを行った後に実験を行い、さらに理解を深めさせる。 (図3)

(四) プロジクェト学習による専攻学習の改善(仲山清治)

専攻実習の中で、生徒自らが計画・実践・評価できるプロジェクト学習をより効果的に実践し、意欲を喚起することをねらいとして、その方法について検討してみた。

1)手引き書の作成−実習に先立ち実習の背景にある理論をまとめさせ、自らが実習を通して積極的に学ぶ態度を育てることをねらいとした。2)きめ細かな計画案の作成−毎時の実習内容が栽培体系の中でどんな意味を持ち、実習の目標は何かについて把握させる。3)記録簿の作成−説明事項、観察事項、スケッチ、調査事項、自己評価欄を設定し事前、事後指導の徹底に努めた。なお寸評を朱書し記録の重要性とともに生徒との心の触れあいを重視した。4)到達度別グループ編成−「果樹」を専攻した理由によりAグループ(果樹自営希望)、Bグループ(果樹が好き)、Cグループ(なんとなく専攻した)に編成し、それぞれの到達目標を設け、個別指導の徹底に努めた。 (図4)

(五) 研修活動による目的意識の高揚(小山伊)

農業高校に学ぶ生徒の中には、将来の展望が開かれないまま心を閉ざして学習意欲を示さなくなってしまうものが多い。そこで研修活動を通して目的意識を持たせ、学習意欲への弾みをつけさせる。1)生徒の意識調査(4月)2)個人面接(5月)3)講演(6月)4)座談会(9月)5)講演(10月)6)個人面接(11月)7)農家視察(1月)これらの研修を通して一人一人が目的意識が高揚するよう個別指導を継続した。

 

三 まとめ

 

以上、学習意欲をかきたてる根本は授業そのものが生徒にとって魅力的で「やる気」がおこる授業にあるということがわかった。今後は、一人一人に「やる気」をおこさそるための指導法を、更に工夫検討することが課題である。この実践研究を土台に、さらに良い授業の実践に努力していきたい。

 

図3 油脂の融点についての授業の流れ

図4 プロジェクト学習効果

 

図4 プロジェクト学習効果

専攻実習の時間以外に調査観察をしたことがあるか。

 

 

 

 


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