教育福島0087号(1983年(S58)12月)-034page

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教育センターから

 

算数・数学教育のあり方を求めて

 

はじめに

 

算数・数学講座は、教育センターが昭和四十六年に発足すると同時に開講され、今年で十三年目を迎えることになった。この間、講座の内容や方法は年とともに少しずつ変わってきているが、講義や演習を通して、算数・数学教育のあり方や学習指導の内容・方法などについて研修することは、一貫して受け継がれてきた。

本年度は、これまでの講座についての反省をふまえながら、今後の算数・数学教育が当面する問題や課題に対応できるものとなるよう、講座内容の編成に努めてきた。

以下、本年度実施された各講座について、そのねらいや内容を紹介する。

 

一 講座内容の編成に当たって

 

算数・数学講座は、数学の専門的内容や教材研究、学習指導法、指導上の諸問題について研修を行い、識見や指導力を高めることを目的としている。

それを受け、講座の内容を編成するに当たっては、次のようなことを配慮し、研修の成果をあげることができるようにした。

○ 数学の専門的内容や数学的な考え方、教材研究、指導法、評価などについて、それぞれの研修講座に応じて、講義や演習(実習)のテーマを設定した。

○ どの講座にも講義、演習(実習)研究協議を適宜取り入れることにより、講座の内容に変化をもたせるようにした。

○ 各専門分野での優れた県内外の講師や助言者を招き、研修者にとって魅力ある内容、実際の指導に役立つ研修となるよう心掛けた。

○ グループ活動を取り入れるなどして、研修者が互いに意見を交換し、研修に主体的に参加できる場を設定した。

○ 本年度は、小・中・高等学校一貫して、どの講座にも「評価」についての講義や演習を取り入れることにした。次に、このことの理由について述べてみたい。

小・中学校及び高等学校においては、この度の学習指導要領の改訂に応じて、指導要録も改訂された。この改訂の一つのねらいは、従来の評価のあり方についての反省をふまえ日常の指導と結びついたものとし、指導と評価の改善を図ろうとするものである。このような趣旨にそって評価や記入の方法が改善された。

小・中学校では、「各教科の学習の記録」の「観点別学習状況」について、学習指導要領に示す目標の達成状況を、観点ごとに評価することになった。このことについては、「十分達成」「おおむね達成」「達成不十分」という目標達成の度合いについて判断するための資料づくりや評価基準の設定など、現在各学校で取り組んでいるところであり、今日的課題の一つであると思われる。

また、高等学校においても、評定を行う際には知識・理解、技能面のみに偏ることなく、数学的な考え方・関心・態度の観点をも考慮して評定することが重視されており、指導のための評価であるという考え方においては、基本的に小・中学校と変わるものではない。

このようなことから、評価についての研修は、時期的にみても意義深いものであると考え、すべての講座に組み入れることにした。

 

二 小学校算数講座

 

◇一次研修〈7月4日〜7月7日〉

○学習指導における教師の人間的資質

−相談的な教師−(所員)

不適応行動を起こしがちな子どもの発見と、児童生徒理解のための手だてなどを中心に、教育相談担当所員による講義・演習がなされた。

○算数科における評価の基本的な考え方(福島大学教授 佐藤俊太郎)

評価の機能、つまずきの発見と治療、観点別学習状況評価などについて、豊富な具体例が示され、授業にすぐ役立つ講義内容であった。

○「子どもとともにつくる算数」をめざす授業(福島市立瀬上小学校教諭白石允宏)

教材研究の手順・内容、指導過程などについて、実践例をもとにわか

 

 

 


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