教育福島0089号(1984年(S59)02月)-026page

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高等学校教育

 

各高等学校においては、生徒や地域の実態を踏まえて編成した教育課程に基づき、生徒一人一人が、意欲的、積極的で、しかも充実した学校生活を送れるよう創意工夫に努め、特色ある学校づくりを進めることが強く望まれる。

更に、新しい理念に基づいた教育課程の趣旨を日常の教育活動によりょく生かすために、国民的教育機関としての高等学校教育のあり方について、全教職員の共通理解を図りながら、人間の一生を通じた学習の基礎を培うものとしての高等学校教育の役割を十分に認識し、学校全体が有機的な統一体として機能するよう、生徒ひとり一人を生かす豊かな教育活動を展開することが期待されている。

そのためには、現在の生徒の多様な能力・適性・進路等を十分に配慮した学習指導を展開する必要があり、指導方法の改善と教師自身の指導力の向上を目指した日常の実践的な研究・研修が望まれる。

また、生徒が望ましい集団活動を通して、豊かで充実した学校生活を送れるように、特別活動の充実と活発化を図るとともに、生徒理解を基盤とした生徒指導体制の確立に努める必要がある。

更に、生徒の豊かな個性・能力の伸長と、将来において生徒の能力・適性が正しく生かされることをねらいとした進路指導の一層の充実・強化に努力し、生徒一人一人を生かす教育活動の推進に徹することが必要である。

 

国語

 

国語を的確て理解し、適切に表現する能力を身につけさせるため、学習指導の展開について、一層の創意工夫が必要である。その場合、言語の教育としての立場を大切にし、特に表現力を高めることを重視する。また、生徒の実態に応じた学習指導のあり方を、特に工夫するようにする。

 

一 国語の基礎的・基本な能力を身につけさせるように努力する

 

(一) 漢字の読み書きや基礎的な言語事項の指導の徹底を図るため、適切な教材、指導方法を準備し、規則性と継続性と発展性を持つ学習を援助する。

(二) 言葉の力を養う指導の徹底を図るため、言葉の世界を正しく読みとる態度一方法を身につけさせるとともに、表現する力の養成を重視する。

(三) 辞書や必要な資料を十分に活用できる能力や態度の養成につとめる。

 

二 文章の正しい解釈・豊かな鑑賞の能力を身につけるよう努力する

 

(一) 生徒の読みにおける個性を大切にしながら、正しい読み、深い読み、価値の高い読みへと導き、豊かな人間性を養うための指導を工夫する。

(二) 文学的教材の指導に当たっては、すぐれた表現を味わうとともに、文学的体験を通して生徒自らの人生を豊かにすることをねらいとする。

(三) 論理的教材の指導に当たっては、文脈、文章の正しい理解のうえに立って筆者の認識・思考の内容を的確にとらえさせることを重視する。

(四) 古典の指導にあたっては、基本的な語句や語法の理解を図りながら、古典の世界を享受させ、伝統的な言語文化に対する関心と興味を一層深めさせることを大切にする。

(五) 人格の陶冶に役立つ読書習慣を形成するための、適切な読書指導を進める。

 

三 表現力の向上を図り、正しく豊かな文章を書く能力を身につけさせるよう努力する

 

(一) 教材および指導方法を十分に準備し、表現技術の向上を図るとともに実際に作文を書く機会を多くする。なお、評価等については更に工夫をする。

(二) 書くために読み、読むために書く表現の学習と、理解の学習の関連を図って指導を展開する。

 

四 教材研究を深め、効果的な指導法についての研究も深め、実践する

 

(一) 教材の的確で深い読みとりに努力するとともに、教える内容と学習せせる内容を明らかにし、授業でどのように効果的に取り扱うかという面での研究を深める。

(二) 形骸化した指導過程を常に改善し生徒の実態、教材の質に応じた適切な指導法を工夫する。

(三) 教材の質によって、論理的にとらえる学習と感覚を重視してとらえる学習、また、精細に読みとる学習と概括的に読みとる学習を適切に組み合わせる。

(四) 総合的な国語能力の育成のために表現領域と理解領域、現代文と古典のそれぞれを関連させた指導のあり方を工夫する。

(五) 国語教師としての資質をみがくように努力する。

 

 

 


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