教育福島0090号(1984年(S59)04月)-041page
知っておきたい教育法令
定年制度
(総務課管理主事・古関隆史)
一 条例の制定
本年三月の県議会において県立学校職員を含む県職員に適用される条例として「職員の定年等に関する条例」(福島県条例第三号、以下「県条例」という。)が、また市町村立学校職員(県費負担教職員)に適用される条例として「福島県市町村立学校職員の定年等に関する条例」(福島県条例第三〇号、以下「市町村条例」という。)が可決され、三月三〇日公布された。これにより、昭和六〇年三月三一日から原則として六〇歳定年制が実施されることとなった。
定年制度の趣旨及び概要については前号で述べているので、以下、条例の内容について条項ごとに述べることとしたい。
二 条例の内容
県条例、市町村条例ともに六か条から成り立っており、基本的な内容面で異なるところはない。
1 趣旨(県条例、市町村条例第一条)
これは条例制定の根拠を定めたものであり、地公法の根拠条文が示されている。
2 定年による退職(県条例第二条、市町村条例第四条)
定年に達した日以後における最初の三月三一日が定年退職日である。定年に達した日とは、条例上定められた定年に達した誕生日の前日、例えば四月一日生まれの者であれば三月三一日である(年齢計算二関スル法律、民法第一四三条第二項)
3 定年(県条例第一二条、市区町条例第四条)
原則として定年年齢は六〇歳であるが、国に準じて医療業務に従事する医師及び歯科医師は六五歳、労務職員は六三歳とされた。県立学校職員の場合は、用務員と給食員が労務職員に該当し、市町村立学校職員(県費負担教職員)には該当職種がない。
4 定年による退職の特例(県条例第四条、市町村条例第五条)
定年に達した職員がすべて退職することにより、公務運営の面で著しい支障が生ずる事態があり得るので一定期間勤務延長させることができることとしたのである。
具体例としては、斯界の権威者をもって充てるような研究機関の長等一一項一号)、僻地や離島の医師等(同項二号)各種プロジェクト計画の責任者等(同項三号)が考えられるが、これらは真にやむを得ない場合と任命権者が認めた場合にのみ行われるものであり定年制度の趣旨からして幅広く運用されるべきものではないと解される。
5 定年退職者の再任用(県条例第五条、市町村条例第六条)
公務の能率的運営を確保するために場合によっては定年退職者を活用することが有効であることも考えられるので、一定期間の範囲内で例外的に再任用する途を開いたものである。再任用は退職後の新たな採用である点において、前条の勤務延長とは異なった身分関係をもつものである。
6 定年に関する施策の調査等(県条例第六条)
定年制度の適正な運営を確保するために、総合調整権を持つ地方公共団体の長たる知事(地自法第一八○条の四)が、定年制度の実施に関する施策の調査研究とその権限に属する事務について適切な方策を講ずるものとしたのである。
三、その他
1 個別的勧奨制度
定年制度の導入に伴い、従来行われていたような組織的、集団的な退職勧奨は行われなくなるが、個別的退職勧奨は人事管理上の必要性に基づいて制度創設の検討がなされることになろう。
2 定年制度と退職手当
定年退職者の退職手当については本県でも、国に準じて退職手当条件の一部改正が行われ(本年三月三〇日公布)、勤続期間二五年以上は第五条、同二五年未満二〇年以上は第四条が適用されることとなった。
3 定年制度の適用除外
地公法第二八条の二第四項により適用除外される職員としては、臨時的に任用される職員(地公法第二二条)、市町村教育委員会の教育長(地教行法第一六条第三項、第四項)、産休代替職員(女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法第三条)などがある。