教育福島0090号(1984年(S59)04月)-049page
美術館だより
美術館入口
エントラランスホール
県立美術館は、四月一日に福島市森合の信夫山のふもとで産声をあげました。来る七月二十二日からの一般公開に向け、館員一同準備のために多忙な毎日を送っております。
この美術館コーナーでは、今後継続して美術館の紹介をして参りますが、今回は、これまでの経過の概要を報告いたしまして、美術館に対する御理解の一助としていただきたいと思います。
顧みますと、昭和五十二年五月に文化を考える県民会議、昭和五十三年七月には文化振興会議が設置され、本県文化の振興ならびに文化施設整備のための検討がなされました。これらからの提言をふまえ、昭和五十四年に教育庁文化課内に文化施設班が設けられ、文化施設整備のための体制が整えられました。この年は、福島県政の「文化元年」として位置づけられております。
さて、この年の七月より翌五十五年一月まで、五回に及ぶ美術館基本構想検討委員会が開催され、佐藤光委員長から辺見教育長に建設基本構想の報告がなされました。ついで文化施設建設調整会議において、美術館などの建設地の選定ならびに建設のスケジュールなど種々の基本的事項の審議がなされました。
これと並行して、美術館収集評価委員会が設置され、美術品の収集が開始されました。本年二月の委員会まで十三回に及ぶ会議が持たれ、三月末日現在の収蔵品は五百七十六点となりました。主なものとして、海外作品ではクロード・モネの「ジウェルニーの草原」、アンドリュー・ワイエスの「松ぼっくり男爵」、県出身作家では関根正二、斎藤清、大山忠作他多くの作家の作品が収蔵されております。
また、県関係の作家・作品の調査研究を進めるとともに、美術品の管理保存、教育普及の研究、常設展、企画展の準備等の館事業全般にわたり検討を重ねてまいりました。
これからが本番です。−県民に愛され、活用される美術館づくりをモットーにし、館員一同努力してまいりますので、よろしくお願い申しあげます。
福島県立美術館 副館長 河部 信市