教育福島0091号(1984年(S59)06月)-008page

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特集

 

生徒指導の充実

 

はじめに

 

昭和五十八年の県内における少年非行は、全国的な傾向とはむしろ逆に、刑法犯少年が微減し、四年振りに増加傾向に歯止めがかかるなど、喜ばしい状況にある。

しかし、その内容をみると、初発型非行が全体の約六五%と過去最高を占めている。

中学生による刑法犯は引き続き増加し、刑法犯少年全体の四一・一%を占めている。さらに、中学生による校内暴力が多発し、うち、教師に対する暴力事件が九件と、これまでで最多の発生をみた。

このように、中学生による非行は、一段と粗暴化、多様化の傾向を示している。

また、女子少年による非行が増加し、刑法犯少年の四人に一人を女子少年が占めるなど、少年非行の多様化、質的変化の傾向がみられる。

ところで、学校における生徒指導は、学校がその教育目標を達成するための重要な機能の一つであり、すべての生徒の人格のより良き発達を助成し、学校生活が生徒にとって意義深く、より充実したものとなることを目指して行われるものである。

しかし、前述したように、最近における中学生を中心とする非行等問題行動の増加は、大きな社会問題化しており、「生徒指導」即「非行対応」かの如く世間から受け止められているが、これは生徒指導のいわば一面をとらえたもので本質をついているとは言い難いが、現に発生をみている非行問題は、避けて通ることのできない急務であり、学校運営のエネルギーの多くを非行対策に注がざるをえない学校が存在するのも事実である。

したがって、すべての生徒を対象とする本来の生徒指導を積極的に推進しながら、あわせて非行対策にも迫られているのが現在の生徒指導上の大きな課題となっている。

ここでは、児童生徒の最近における非行等問題傾向を直視し、その防止の観点から、学校における生徒指導のあり方について考察してみたい。

 

一 本県における少年非行の現状

 

昭和五十八年中における本県の非行少年等の補導数は、二三、四七五名で前年にくらべ約三・四%の増となっている。逆に刑法犯少年は、前年にくらべ約一・四%減の四、六九四人である(表1)

四年ぶりの増加傾向にブレーキのかかったのは喜ばしいことではあるが、東北六県では依然として三年連続一位、全国では十五位というまだまだ不本意な数字である。(図1)

刑法犯少年のうち、年長少年が減少したのにかかわらず、十五歳が四六人(五・六%)増加、持に十四歳未満が

 

P.D.S学習による授業・中島中学校

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