教育福島0091号(1984年(S59)06月)-032page

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わたしの研究実践

 

理科における「観点別学習状況」の評価

 

飯野町立明治小学校教諭 高橋 友 憲

(現任校 福島市立第四小学校教諭)

 

一、研究の趣旨

 

理科の「観点別学習状況」の評価をどのように行えばよいのか。学年末に確たる資料もなく記入しなければならない心もとなさが、この研究の直接の動機となった。

ここで、「観点別学習状況の評価」が指導要録に取り入れられた趣旨を考えてみると、この評価が達成度評価で行われるということは、新指導要領改訂の方針の一つである「基礎的、基本的な内容の重視」の表れであろう。また、「自然に対する関心、態度」の観点が新たに設けられたのは、「人間性豊かな児童の育成」を受けているものと考えられる。このことは、「観点別学習状況の評価」の観点から、日常の学習指導を見直すことによって、児童に「基礎的、基本的事項が身に付くとともに、自然を愛する豊かな心情が育つ」ということを示しているのではないだろうか。

指導要録記入のためという消極的な考えから始まった実践ではあるが、今後は、前述のような意味から、積極的に「観点別学習状況の評価」をとらえてみようと考えた。

 

二、研究の仮説

 

「観点別学習状況」評価の各観点の能力と評価方法を明らかにし、それに基づく指導を実践、累積すれば、児童に基礎的、基本的事項が身につくとともに、自然を愛する豊かな心情が育つであろう。

 

三、研究の計画

 

(一) 対象

第四学年、男九名、女六名(以下省略)

 

四、研究の概要

 

(一) 「観点別学習状況」評価の手順「観点別学習状況」評価基準の設定、それに基づく指導及び評価を、資料一のような手順で進めた。

(二) 計画及び指導、評価の実際

ここでは、「いもの育ちかた」の実践を例に、その概要を述べる。

1) 単元の構想

児童が主体的に学習に取り組むためには、児童の問題意識が連続する必要がある。そのためには、事象提示に対し、児童がどう反応し、どう考えるか予測しておく必要がある。そこで、単元の構想「いもの育ちかた」を作成した。

ここでは、「ジャガイモをくわしく観察しよう」のような課題に対し、児童は、実際の観察を通して、大きく三つの問題意識を持つのではないかと考えた。すなわち、ア、芽や根に対する疑問イ、白い粉に対する疑問 ウ、栽培への欲求である。これらの問題意識を想定することによって、単元全体を構成できるのではないかと考えた。

2) 指導計画

単元の構想をもとに、配当時数、取り扱う時期、思考の連続という点を考慮しながら、総時数二十時間の学習活動を設定した。この単元では、「推論する」「関係づける」という能力が重点となる。この能力を伸ばすために、「新しいいも(でんぷん)がどのようにできるか考える」という活動を、くりかえし取り上げた。これらの能力を伸ばすためには、じっくり考える時間が必要であるとともに、自分の考えを何回も見直し、修正していく活動が必要になると考えたからである。

3) 内容、行動マトリックス(図表省略)

どの学習活動において、どの能力を達成させるかをとらえるために、マトリックスを作成した。記録には記号を◎、○印を用いた。◎印は、重点となる能力であり、小学校指導書理科編(文部省)に示されているものであり、○印は、この単元で取り扱う能力であり、児童の実態や教師の指導観などにより変わってもよいものを示した。

4) 単位時間における目標の設定

内容、行動マトリックスを使って、単位時間における観点別目標を設定した。観点ごとの目標には分類番号をつけ、評価の際、処理しやすくした。

5) 評価計画

 

 

 


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