教育福島0092号(1984年(S59)07月)-009page

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り、生徒も保護者も進学に関することが最大の関心事である。

しかし、知・徳・体の調和のとれた人間の育成を目指した教育目標を掲げ、保護者の理解を得ながら、全教職員の協力のもとに努力しているところである。

 

一、研究主題の設定

 

(一) 研究主題

「公共施設に対する公徳心の高揚を図るための勤労活動をどのようにすすめたらよいか」

(二) 研究主題設定の経過と理由

前年度末の反省及び改善すべき事項の中で、特に校舎内外の清掃美化が十分でないことや校内の施設、設備の利用の態度に問題があることが指摘された。今後の課題として、校舎内外の整理整とんや学校近辺の通学路周辺の清掃を含めて積極的に取り組み、この実践活動を通して、本校の教育目標である「……民主社会の習慣と規律を重んじ、責任をもって行動し、かつ環境の美化をはかり豊かな情操を体得し………」と「………健康にして明朗、進取にして着実、かつ勤労を尊ぶ気風を養う」の具現化に努力することを確認しあった。

このような状況のもとで、勤労にかかわる体験的な学習を通しての生徒指導研究推進校の指定をうけ、前掲の研究主題を設定した。

 

二、研究の方針と組織

 

学校の規模、施設、設備、地域社会や生徒と保護者の学校に対する期待、及び教育課程等を踏まえて、次のような研究の基本方針を立て組織を作った。

(一) 研究の基本方針

1、まず第一に、勤労体験の活動場面を設定し、その実践を通して、従来の義務的な校内清掃に対する意識から、公徳心に基づく自発的な勤労観へと変革する。

2、勤労にかかわる新たな体験を重ねさせるとともに、生徒と教師が共にかかわりあいながら人間関係を深め、高校生活の充実を目指していく。

3、教育課程のどの領域に勤労体験学習を組み入れるかを検討し、そのねらいの達成のための創意と工夫を加えていく。

(二) 研究の組織

基本的には、研究推進の円滑化を図るため現行の校務分掌を重視し、研究推進のねらいの達成のために校内組織が十分に機能できるようにしている。

1、 研究推進委員会の設置

勤労にかかわる体験的な学習のねらいとその実践についての校内の共通理解の一層の深化を図るために推進委員会を設置した。

教頭を委員長に、教務主任、生徒指導主事、生徒会部長、保健主事、施設設備部長、学年主任、ホームルーム係(生徒指導部)主任、清掃美化係(保健部)主任、各学年会ホームルーム係を委員とし、会計事務総括の委員として事務長を加えて構成した。

2、小委員会の構成

企画、実践の総括を行うため小委員会を置き、教頭、教務主任、生徒指導主事、ホームルーム係、清掃美化係で構成した。

 

三、研究計画・実践の概要

 

(一) 研究計画

1、教育課程への位置づけ

勤労にかかわる体験的な学習が計画的、組織的、継続的に展開されるためには、教育課程の中に明確な位置づけがなされなければならない。

学校の実態からみて、教科、科目の中に勤労の実践的な活動場面を設定することは困難であるので、特別活動において実施することとした。

2、特別活動への位置づけ

(1) ホームルーム

1) ロングタイムに公衆道徳や勤労体験についての主題を設けて話し合いや討議を行わせ、公徳心や正しい勤労観を養う。

2) ロングタイムの運営上の工夫をして、通学路や公園等の公共施設の清掃などの環境の美化活動を行ったり、職場見学を行う。

3) 清掃当番等の機会をとらえ、身のまわりの整理整とんと環境の美仕の態度を養う。

(2) 学校行事

1) 学年で計画した校外活動、たとええば長期休業中に養護学校等の環境美化の奉仕活動を行う。

2) 学園祭、遠足、修学旅行等での環境美化活動で公徳心を養う。

3) 「校内をきれいにする週間」を設定したり、月末や学期末の学校清掃の活動内容を充実させる。

(3) 生徒会活動

1) 生徒会の執行部や美化委員が校内の整理整とんと清掃美化の点検を行うとともに、自主的な活動を助長する。

2) 特に、部活動や学校内外での合宿等には、部室等の整理整とんと清掃をとおして公徳心の高揚を図る。

(二) 研究実践

1、意識と実態の調査

研究推進の資料にするため公徳心や勤労観について質問紙法による調査を六月に実施した。

生徒を対象としてはロングホームルームを利用して全校一斉に行った。保護者には全校三〇学級から無作為に五名ずつを抽出し、一五〇名を対象に実施した。

(1) 生徒対象の調査の結果

1) 校内において、「便所を汚さないように使う」が八六%、「空の容器や袋類をきちんとゴミ箱に入れる」が九四%など美化に対する

 

 

 


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