教育福島0092号(1984年(S59)07月)-015page
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を行ってきた。
第二年次は、その一つ一つについて反省と評価を加えながら検討し、おおむね次にあげるような実践的な研究を推進した。
1、目的意識を高めるための実践
(1) 学校理解をより深めるために
高校入学以前に学校に対する理解を深めさせ、明確な目的意識を持って、自らの意志によって進学する高校を選択させるために、一日体験入学を実施した。
事後のアンケートの結果を見ると、中学生が一日体験入学で得た知識は、高校進学に際して、大変役立った。
(2) 生徒理解の深化を図るために
生徒に、目的を持って、生き生きとした高校生活を送らせるために、生徒一人ひとりをよく理解し、適切な個別指導を行うことが重要である。そのため、早期に中学校訪問を行いその資料をもとに、多面的な生徒理解に努めた。特に、生徒の出身中学校を訪れて懇談した内容や高校入学後の生徒の観察等が生徒理解を深めるのに役立った。
(3) 高校生活の充実を図るために
生徒一人ひとりに目的意識と意欲を持たせるためには、個々の生徒と集団とのかかわりを重視し、集団の態様を向上させることも大切である。
中学時代に生徒会やホームルームの役員を経験した生徒はきわめて少ないが、中学校との連携によりリーダーとなり得る生徒を掘り起こし、これらの生徒を対象にリーダー研修会を宿泊を伴うものを含めて三回実施した。
2、学習意欲を高めるための実践
(1) 学習指導の連携を深めるために
初年度の公開授業に基づく中高合同の研究協議を更に推し進めた。教科を数学から英語、商業に拡大するとともに、中学校側の授業公開も行うことができるようになつた。
中高一貫した学習指導を進める上で貴重な資料を得ることができたが、今後は、中学校教育研究会の各教科部会と関連づけて、計画的、継続的に実施していこうとする気運も高まってきた。
(2) 基礎学力の定着を図るために
不得意科目としてコンプレックスを持つ生徒の多い数学と英語について、高校の教科書への円滑な移行を図るために、いわゆる「つなぎ教材」を開発した。
中学校側の意見や要望を参考に、検討会を重ね、「数学1の基礎」(B5判五十八頁)、「Bridging」(同、七二頁)を作成し、生徒一人ひとりに持たせ、授業や自宅学習に活用させた。
3、効果的な生徒指導のための実践
(1) 中高連絡カードの活用のためにいわき地区では「中高連絡カード」が活用されてから六年目を迎えるが、これまでの経過と利用状況を検討して改善を加え、効果的に行えるようにした。
特に留意した点は、中学校から送付されてきた事項について高校でのその後の状況を記入して返送し、中学校との密接な連携に配慮した。
4、魅力ある学校づくりを目指した実践
中学校に対し、連携の働きかけをしてきた中で、まず第一に高校が中学校を含めた地域社会の期待に添った学校づくりをしなければならないことが校内で論議された。
地域社会の期待に添った魅力のある学校づくりはこれまでの実践から、次の四項目に集約された。
(1) 施設、設備が整備され、環境のすばらしい学校
新校舎が昭和五十七年に落成し、施設、設備も充実してきたが、今後は生徒の自主活動を活発にし、緑化や清掃への取り組みを検討し、環境美化のための実践を推進すること。
(2) 生徒の生活態度の立派な学校
基本的な生活習慣を身につけ、高校生らしい服装や頭髪、ことば遣いなど、中学生の範となるような高校生像を確立させる指導を充実すること。
ホームルームや生徒会活動、特に風紀委員会の活動を活性化するなど生徒の自覚を高め、自主性を育てる指導を進めること。
(3) 学習活動のさかんな学校
学習指導を充実させ、学習意欲を高めながら、「わかる授業」の展開に今後なお一層の努力をしていくこと。
(4) 進路指導の充実した学校あらゆる教育活動を通して生徒理解を深め、生徒の個性に応じた進路指導を進め、一人ひとりの生徒がやがて社会において自己実現が図られるようにすること。
三、研究実践の成果と今後の課題
本校が抱えている課題に対処するための研究主題を掲げて、数々の実践を試み、中高連携の具体的な方策を組み立てるための貴重な資料を得ることができた。
また、中高連携は高校側が中学校側に協力を要請するという形になりやすいが、実践的な研究を通して、中高が共通の理念を持って生徒指導を推進していこうとする気運が高まってきたことも大きな収穫である。
更に、中・高の連携を深めるためには、中学校の期待に応える学校づくりが前提であるとの認識が校内で共通のものとなったことは、この研究実践の成果の最大のものであると考える。
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