教育福島0092号(1984年(S59)07月)-029page

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特集〔2〕

 

交流教育の推進

ふれあいの輪の

ひろがりをもとめて

 

一、交流教育の意義

心身障害児の教育は、障害に基づく種々の困難を克服して、強く生きようとする意欲を高め可能な限り積極的に社会に参加する人間を育成することをねらいとしている。

このねらいを達成させるためには、心身障害児の障害の状態や能力・適性等に応じて、障害を克服し、社会に参加する能力や態度を身につけさせるとともに、一般社会の人々に心身障害児やその教育に対する正しい理解と認識を深め協力を得ることが必要である。とりわけ、小学校・中学校・高等学校の児童生徒が、心身障害児に対する正しい理解と認識を深めることは特に大切であり、このことは人間性豊かな児童生徒の育成を図る上からもきわめて重要なことである。

交流教育については、「盲・聾・養護学校学習指導要領」の総則に「児童又は生徒の経験を広め、社会性を養い、好ましい人間関係を育てるため、学校の教育活動全体を通じて、小学校の児童又は、中学校、高等学校の生徒及び地域社会の人々と活動を共にする機会を積極的に設けること」と示されている。又、文部省は、昭和五十四年七月六日付け文部事務次官通達をもって、

「小学校、中学校、及び高等学校においてもこの趣旨を十分理解し、適切な教育活動が展開されるよう配慮されたい」旨を要請し、交流教育の重要性と意義について示している。

 

二、本県における交流教育の現状

本県教育委員会では、これらの趣旨をふまえ、交流教育を推進するために昭和五十四年度から、文部省の「心身障害児理解推進校」の指定研究と本県単独の「養護教育交流推進事業」を中心に養護教育諸学校と小学校、中学校の児童生徒とが活動を共にする交流教育を指導の重点の一つに掲げ、その趣旨の徹底を図ることに努めてきた。

特に、養護教育交流推進事業については、昭和五十八年度をもって、県内の養護教育諸学校と小学校との交歓会、中学校との野外合同活動の交流実践が一巡し予期以上の成果を上げた。

この事業が契機となって、養護教育諸学校と指定校との間に現在も多様な交流活動が継続されており、心身障害児を含めた全ての子供たちの社会性の育成、人間尊重の精神の涵養など人間性豊かな児童生徒の育成に大きな成果を上げてきている。これらの交流教育の成果については、昭和五十七年に交流教育推進事業実施報告書「共に学び共に生きるきずなを広げて」(福島県教育委員会)を刊行し、各学校における交流教育の指導資料として活用している。

 

三、交流教育の充実

交流教育の推進と充実を図るには、

○児童生徒に交流の趣旨の徹底を図り、障害児、健常児の双方に意義のある教育活動として、学校の教育計画に定着させること。

○児童生徒の交流活動に対する地域社会の理解と協力を広め、障害児に対する理解を深めさせること。に特に配慮し交流活動を推進することが大切である。

県教育委員会では、これまでの実績をふまえ、昭和五十九年度から実施する交流推進事業に、新たに地域指導者の協力を求め、地域の特色を生かした幅広い交流活動、地域社会につながる交流教育等を加え、交流教育の輪をさらに広げるよう配慮している。(表1)

交流教育を推進していくには、交流の機会が児童生徒にとって、充実したものになるよう、教職員の共通理解を深めるとともに指導体制を整え、家庭や地域社会の理解と協力を求めながら効果的な交流の内容や方法の工夫を行い充実した交流活動が展開されるようにすることが必要である。

今回は、昭和五十八年度交流教育推進事業の指定校の中から、二校の実践研究の成果の概要について紹介する。

 

合同野外活動(福島養護学校と平野中学校)

合同野外活動(福島養護学校と平野中学校)

 

表1 昭和59年度交流推進事業の指定校

表1 昭和59年度交流推進事業の指定校

 

 

 


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