教育福島0092号(1984年(S59)07月)-030page

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交流教育の実際

 

福島市立福島養護学校との交流

−福島市立岡山小学校

 

一、交流教育への取り組み

本校は、県教育委員会より「昭和五十八年度養護教育交流推進事業」の実施校として指定を受け、福島市立福島養護学校と交歓会を中心とする交流を深めてきた。

対象は筆二学年児童であるが、本校では、校内での学級交流もねらいとしてこれに特殊学級(精神薄弱特殊学級)を加え、全校的な組織のもとにその実践に取り組んできた。

(1) 本校教育における交流教育の位置け

本校では、「よく考える子ども」「思いやりのある子ども」「じょうぶでたくましい子ども」の三つの教育目標をかかげ、その具現のために努力している。この中で「思いやりのある子ども」は、友情と思いやりの精神を涵養し、実践力を育てることを重点事項とし、他学年、他学級との交流活動を推進してきた。

こうした一連の営みの中で養護学校との交流教育は実施されてきたが、第三学年、特殊学級では、これを受けて体験活動を重視しながら、友達のよさを認め、そこから学ぼうとする姿を教育活動のあらゆる場で実現しようと学年・学級経営に努めてきた。

(2) 校内指導体制と養護学校との連携

交流教育は、相手校があるだけに、趣旨の理解はもちろん両校の実態に基づく綿密な計画と打ち合わせが重要である。本校では、教務主任・生徒指導主事・第三学年担任・特殊学級担任・養護教諭で構成する交流教育推進委員会で全体計画を作成し、学年主任・特殊学級担任が窓口となり、養護学校との打ち合わせを数多く行い、無理なく、効果のあがる実施計画を作成して交流活動を展開してきた。

また、円滑な交流教育を進めるためには、障害児の実態や養護教育の正しい理解が重要と考え、全教職員で養護学校を参観させていただいた。また、校内においても、特殊学級を正しく理解し協力して交流活動が進められるよう数多くの教職員の参加を求めた。そのうえで、養護学校との交流の事前指導をかね、特殊学級との交流を深めてきた。

 

二、交流活動の実際

(1) 交流のねらい

交流教育は、「心身障害児と健常児とが共同の生活体験を重ねることにより、健常児には障害児に対する正しい認識を高めさせ、障害児には積極的に社会に参加する態度の育成をめざすとともに連帯意識等、心の交流を深める」ことを趣旨としている。

本校では、この趣旨を受けて、教育目標との関連から、次のような交流教育の目標を設定して交流活動を進めてきた。

◎福島市立福島養護学校在学児童との適切な交流教育を実施することによって本校児童と障害児との好ましい人間関係を醸成し、友愛の精神を育てる。

1) 心身障害児が障害を克服するために努力している姿に触れさせ、自己の生活を反省させる。

2) 心身障害児に対する理解を深めさせ、心の交流を図り、互いに協力し合っていく精神を育てる。

(2) 交流活動の内容(表2)

(3) 交流活動の実践

第一回の養護学校との打ち合わせの折、「子ども達には『養護学校の子ども達はこういう子ども達だ。だから、こんなことをしてあげるように、こんなことはしていけない』などは一切言わないでほしい。それよりも、岡山小学校の子どもにとって楽しい交歓会をする中から、体を通して障害児を理解させるようにしてほしい」との要望が出された。実施計画の面でも、交歓会の事前指導においても、できるだけ本音で交流が進められ、あたたかい気持ちで接することができるように配慮してきた。

 

○ 児童作文(一部抜粋)

〈交歓会〉

わたしたちのグループのようご学校のお友だちは、おおこうち君、こんの君、とちくぼ君の三人です。三人とも前よりなれてきて、言葉をもっているおおこうち君はみんなとお話をしていました。いろいろなゆうぐを使って遊んでいるとき、こんの君が少しおくれました。でも、みんなと同じようにやりました。わたしは、よっぽどおもしろいんだなあと思いました。でも、とちゅうで、こんの君がいなくなりました。さがしているとどんどん下の方に歩いていきます。急いでおいかけたらすべりだいのところでとまりました。わたしが走っていったら、同じグループのみわこちゃんがいました。みわこちゃんもこんの君をおいかけてきたそ

 

表2 交流活動のねらいと内容

表2 交流活動のねらいと内容

 

 

 


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