教育福島0092号(1984年(S59)07月)-031page

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うです。(略)

ごごのじゆうかつどうは、自分たちの考えた色おにをしました。わたしたちは、ダンボールに色をぬってもっていきました。つぎに、ハンカチおとしをしました。(略)

そのうちにおわかれの時間がきました。もっと遊んでいたいなあと思いました。とちくぼ君なんかやっと遊べるようになったのに……。(略)

 

三、実施後の成果

(1) 児童の変容

意識調査から見られるように「いやになってきた」「いやな気持ちが変わらない」とする少数の児童がいることを見逃すことはできない。しかし、児童作文からも明らかなように、児童の障害児を見る目は交流の活動を重ねるにしたがいしだいに変わってきている。相手の気持ちや立場にたって行動しようとする思いやりの心情が高まってきている。また、同じ仲間であるといった意識も育ってきている。

こうした意識は、校内でも感じとられるようになり、特殊学級の児童を見る目も、他学級の児童と接するときと変わらないようになってきている。

(2) 保護者・PTA・地域社会の理解

交流事業の成果を上げるうえで、父母の障害者に対する認識が大きく影響する。そこで本校では、学年通信や保護者懇談会、PTAの広報紙を通して父母への理解を図るように努めてきた。その結果、交流活動に対する協力的な態度が数多く見られ、児童も素直な気持ちで障害児と接することができたように思われる。

また、地区内の文知摺観音での事前交流は、地域社会の障害者への理解を深める場ともなり、大きな効果を見ることができた。

 

四、まとめと今後の課題

 

交流教育を進めるにあたって、教科、道徳、特別活動、その他の教育活動との密接な関連を図りながら、友愛の精神を育てることに焦点をあて実践してきた。いま振り返ってみると、指導は年間を通して計画的になされるべきであったと考える。また、交歓会では、三年生なりにアイデアを出し合い活動を進めてきたが、より主体的な活動がなされるように配慮すべきであったように思われる。しかし、児童にとっては、何にもまして得がたい体験学習であったと感じている。

今後の課題として

1) 設定された場だけでなく、ふだんの生活の中でも身近な障害児に対して積極的に対応できるようにする。

2) 障害児を理解し、正しく対応できるように、全児童への指導を強化し父母への啓もうを積極的に進める。

3) 全教職員が交流教育について十分な理解が図られるよう、校内体制を充実する。

 

石川町立沢田中学校との交流

−福島県立石川養護学校

 

一、交流教育にあたって

昭和五十八年度、養護教育交流推進事業対象校として、沢田中学校と本校が指定をうけた。

早速、校内に学部主事をキャップとする交流教育推進委員会を設け、この事業の企画化と校内指導にあたることとした。

先づ、基本方針として、両校教師間において共通の理解を深め、両校生徒間で可能な交流活動の過程を工夫する。交流実施回数は、両校生徒の実態に合わせて行い、回数より質を重んじ内容の濃いものとする、をたてた。

対象生徒は、沢田中学校が二年生六十名、本校生徒が一・二・三年生三十名である。

実際には、協力校との連携を早い時期から継続的に深める必要があるということで、両校教師間の打ち合わせ会を年度当初の四月から持ち、開催は前後十回に及んだ。その中では、沢田中学校教師の本校訪問による本校の実態の理解に始まり、事前交流、合同野外活動、事後交流の実施計画策定とか指導案の検討、または会場の事前調査、そして反省と評価も繰り返し、全校を挙げて可能な限り研究と実践を怠らないように努めた。

 

二、交流活動の実際

(1) 交流のねらい

共通の体験をとおして、社会性を養い望ましい人間関係に気づかせるようにするため、特に次の三項目を重点とした。

1) 集団への適応を促し、基本的行動様が身につくようにする。

2) 互いに助け合い、熱い友情を育むようにする。

3) 合同野外活動では、豊かな自然に喜びを覚え、それに親しむようにする。

(2) 交流活動の内容と実践

1) 事前交流

協力校の生徒が、本校に対する理解と関心を持ち、本校の生徒が、協力校に対する友情と信頼を深め、十一月十日、十一日に郡山少年自然の家で実施される合同野外活動に期待感を抱かせるため、十月二十一日、本校において事前交流を行った。

沢田中学校生徒の本校内見学が終わると、本校体育館において対面のあいさつ、集いの歌と行事は進む。両校校長から交流教育の意義に触れるあいさつを聞いた後、いよいよ班の編成を行う。一班約十名、うち六〜七名が協力校、三〜四名が本校である。班員どうしの自己紹介で交歓の糸口を探ってから交歓行事に入る。

班対抗ゲーム、フォークダンスとスケジュールをこなすうち、障害児の健常児に対する応援と健常児の障害児に対する激励の声が館内一杯に広がり、互いの好ましい係わり合いも至る所で見られるようになった。

 

 

 


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