教育福島0092号(1984年(S59)07月)-046page

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ふるさと探訪

精妙さと庶民性をあわせ持つ如法寺観音堂 (西会津町野沢)

広い寺域の本堂南方に東面して仏堂がある。その参道東端入口に仁王門がそびえる。左端から板土間の外陣、右に畳敷きの内陣があり、内陣の左端中央に南を向いて須弥壇が据えられ、中に正観音を収めた厨子が安置されている。

四周は高欄を付けた厚い切目縁を高く廻らし、階段を四方に取り付けている。とくに東西にあたる正面と背面には、それぞれ巾二間の唐破風の向拝を付して、平面立面とも特異な構成となっている。各建築部所とも禅宗様の入念なつくりで、内部は丹塗りとなっており、天井には絵画も見られる華美な仏堂である。

記録によれば、慶長十六年の大地震で倒壊し、同十八年に再建(「会津旧事雑考」)とある。高欄擬宝珠に「宝暦十三年」の奉納銘、外陣板壁に「享保」の落書きなどもあるが、主要部は十七世紀初頭の手法によってつくられたものと思われる。

豪華かつ精妙な装飾的彫刻を持つ雄大な近世初期仏堂としての意義と、庶民の信迎を集めた特異な仏堂形式の早期の例としても極めて貴重な遺構である。

県指定重要文化財(建造物)

如法寺観音堂付 仁王門

所在地 耶麻郡西会津町野沢字如法寺乙三五三三番地

所有者 如法寺

形状 一棟


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