教育福島0093号(1984年(S59)08月)-012page

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2 学習の仕方の学習

学習の仕方とは“学ぶ力”をつけさせるための学習の手順・手だて・思考の仕方などである。ともすれば、教師が教え込むための学習訓練、例えば、「挙手の仕方」「起立の仕方」「話の聞き方」等に意を配りがちであるが、児童生徒が自ら学んでいくための学習訓練の徹底がより重要なのである。

1) 学習の手順の学習

例えば、理科の学習では、児童生徒が問題意識が高まり、課題が設定されたとき、観察や実験をするか、情報集めをするか、どこから切り込んで、どのような手順で結論まで到達するかの筋道を立てて授業を進める。この手順が学習の仕方である。

したがって、問題解決的あるいは、問題探究的な学習では、学習の仕方は授業過程そのものである。この学習指導では、次のことを配慮する必要がある。

ア 基本的な手順を板書したり、プリントで示すことは良策であるが、それに固執し、型にはめてしまわないこと。

イ 学習指導の過程で、児童生徒と、どこから切り込んで授業を進めたらよいか考え、授業の見通しを立てること。

2) 学習の手だての学習

児童生徒が主体的に学ぶためには、問題解決を進めるための教材の分析の仕方、見方、操作の仕方、考え方などが重要なかぎを握っている。

例えば、歴史事象の学習は、いつ、どこで、だれが、何を、なぜ、どうなったかの6Wで学習を進めるとか、理科の観察は、まず五感を使って行うなどである。考え方では、社会科の教科内容については、関連事象のどこが違うのか(比較衝量)何が原因となり、その結果はどうなのか(因果関係)何が成立条件になっているか(条件設定)どう発展していくか(展開過程)などのように、思考の方法を法則的に身につけさせることである。

教師は、児童生徒の発達段階に応じて、学習の手順、手だてを計画的に授業に位置づけ、指導を積み重ねていくことが必要である。

 

3 主体的活動の場の設定

児童生徒が主体的に活動できるようにするには、時間的なゆとりをもたせ、十分活動できる場を設定することである。

そのために、教師は、単元・題材はもちろん、本時の目標をできる限り中核的なものにおさえ、学習内容も転移可能な基礎的・基本的な内容に精選して学習指導計画を立案しなければならない。

授業中に活動の場を設定するときは、

ア 一時間の中に、中心となる活動をまず一つだけ明確におさえて、時間を十分にとる。動機づけに時間をとり過ぎ、問題解決のための重要な活動が不足しないよう留意する。

イ 目標を明確におさえ、活動の方法を理解させた後に活動させ、「はい回る活動」にならないよう留意する。

 

4 主体性を支える学習環境

教師の動機づけで学習が始まる段階から、学習環境から動機づけられるような場の工夫が主体性を育てるための大きな課題である。

1) 啓発し合う学級集団づくり

高学年になるにしたがい、発言力が低下する現状を厳しく見つめる必要がある。

発言意欲を抑圧している原因を、教師は根気強く探し、除去する努力を続けなければならない。そのためには、教師自身が児童生徒に信頼され、尊敬されることが第一条件であり、学級の明るく、共に学ぶ雰囲気づくりが第二の条件である。

2) 児童生徒に働きかける環境

物的環境は、次の視点から整備を進めることが必要である。

ア 遊びながら学べる広場の工夫(児童生徒の興味をそそる遊び道具、視聴覚教材、実験器具などを設置)

イ 読む・調べる意欲と機会を与える図書館の整備

ウ 児童生徒を啓発する掲示の工夫

 

(二) 「わかる」「できる」授業

 

児童生徒が欲求している「わかる」「できる」授業を創造するには、次のことから、学習指導の改善を図らなければならない。

 

1 個に応じた学習

児童生徒の能力に及ばない学習目標を設定しても、学習は出発点からつまづくおそれがある。一人一人の児童生徒に到達可能な学習にするには、次の配慮が必要である。

ア 児童生徒のレデネスをおさえ、本時学習に必要な基礎力は、授業前、または、授業の初めに補充して、全員が授業に積極的に参加できるようにする。

イ 小刻みの学習ステップを用意し、個々のつまづきに応じて、フィードバックできるようにする。そのための適切な資料、視聴覚教材・教具等を準備する。

ウ 小集団により、教え合い、学び合う場を設定する。

 

2 学習内容の定着

基礎的・基本的内容を確実に定着させるように努めなければならない。そのために、次の手順を踏む必要がある。

ア 脳裏に強烈に焼きつけるような、または、児童生徒の心をゆさぶるような教材の提示や指導法を工夫する。

イ 知識の体系をしっかりとおさえ、構造化した内容として順序よく指導し、理解の徹底を図る。

ウ 絶えず評価し、具体的に、どの児

 

 

 


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