教育福島0093号(1984年(S59)08月)-017page

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七、進路指導の充実

 

(一) 進路指導の目的と性格

 

進路指導は、高等学校進学のための準備や職業紹介などだけではなく、生徒自らが将来の進路の選択や計画をたて、就職や進学、更にはその後の生活において自己をよりよく実現できるような能力や態度を育てることを目的としている。

したがって、進路指導の基本的性格として、次のようにおさえることができる。

○進路指導は、学校の教育活動全体を通じて行うべきものであり組織的、計画的に行われる教育活動である。

○進路指導は、生徒自らの生き方についての指導・援助である。

○進路指導は、一人一人の生徒を大切にし、その可能性を伸長する教育活動である。

○進路指導は、家庭・地域社会・関係諸機関等との連携、協力が特に必要とされる教育活動である。

 

(二) 進路指導の進め方

 

進路指導の意義や必要性について理解を深め、全教師が一体となって指導を推進することが大切である。

進路指導を学級指導の中に位置づけて、三年間を見通しての指導を中核にするとともに、学校の教育活動全体を通じて行うべきものである。

したがって、各学校においては三ヵ年を見通して計画的・継続的な進路指導が行えるよう指導計画を作成する必要がある。

特に、各学年における進路指導の発展・系統を明らかにして、それぞれの学年の指導に当たることが大切である。

例えば、

○第一学年では、進路についての関心を深めることに重点が置かれようが、進んで自己の進路を計画しようとする態度を養うこともおさえる。

○第二学年では、進路を明確にしていくことに重点が置かれようが、上級学校や職業などに関する進路情報を理解させ、自己の計画を吟味して実現しようとする態度を養うこともおさえる。

○第三学年では、進路を選択し、決定することが中心となるが、そのために必要な知識が不十分であれば、当然指導しなければならない。

また、第三学年の指導に当たっては、特に情緒の安定を図るよう、適切な配慮をするとともに、進学希望者と就職希望者との相互理解が図られるよう、実態に即した指導が重要である。

このようにみてくると、各学年において意図する指導が行えるようにするためには、前学年までの指導内容を十分考慮し、計画された内容を完全に実施しておくことが必要不可決のこととなってくる。

さらに、生徒が進路の決定をする過程では、人生に対する期待、進路への希望、そして身近な人々に対する愛情が自然に学習されることが望ましい。

 

(三) 進路指導と学級担任

 

学級担任教師は、進路指導の重要性とその果たすべき役割を十分理解し、学校の指導計画に基づきながら学級の実態に即して適切な指導計画を作成し、指導法を工夫するなど積極的に熱意をもって生徒の指導に当たることが望まれる。

進路指導における学級担任教師の役割としては、次のようなことが考えられる。

○学級の指導計画の作成と実施

○学級指導における進路に関する指導

○各種資料・情報の収集と提供

○生徒に関する個人的並びに集団的な資料の収集・整理・活用

○進路相談の計画・実施

○保護者との連携及び啓蒙

学級担任教師は、担任する生徒一人一人のそれぞれの個性や家庭の事情、本人や保護者の進路希望などをはじめ、それぞれの生徒の進路における自主性の発達状況をたえず確かめながら、変動する社会の中で自己を正しく生かすことができるように、その指導に努めていくことが大切である。

 

八、へき地・小規模校教育の充実

 

(一) 特性を生かす学校・学級経営

へき地の学校並びに小規模校における指導は、基本的には、他の学校と変わるものではない。教育活動が児童生徒一人一人の個性、能力に応じた成果を上げるためには、児童生徒の実態を客観的にとらえ、それを総合的に判断して教育課程を策定する必要がある。特にへき地・小規模校にあっては、その特性を明確にした計画と実践が必要である。そして、へき地校だから、小規模校だからできる教育活動の創造と実践が望まれる。

 

1 少人数の特性を生かす経営

 

へき地・小規模校では、一人一人の児童生徒を見つめ育てる教育が可能である。複式授業を通して、自学自習の習慣や異学年との協力活動から、より主体的に学習する態度を育てることができる。これらの長所を生かし、基礎的・基本的事項を確実に身につけ、一人一人の能力や個性を十分に配慮した指導が展開できるようにする。

 

2 家庭との連携を図る経営

 

交通綱の整備等により家庭生活も大きく変化してきた。学校教育は家庭教

 

 

 


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