教育福島0093号(1984年(S59)08月)-018page
育を基盤として推進されるものであり人間形成上お互いに補完的な役割がある。そうした意味において、相互に話し合い、目標を確認して協力することが必要である。父母と教師との人間的なふれ合いの中での話し合いは、へき地・小規模校では可能であり、より連携を強化する必要がある。
3 地域との連携を図る経営
子どもは豊かな環境の中で、学校、家庭、そして地域の教育力で育つ。人間性豊かな児童生徒の育成には、それにふさわしい教育的環境を整備充実する必要がある。豊富な地域素材を学習の場に生かし、子どもの五感を通して学ばせることが大切である。更に、学校教育目標に、地域の教育課題や地域住民の願いを取り入れるとともに、学校の教育方針が地域の人々に理解され、協力支援を得ることが大切である。
(二) 特性を生かす授業
学習指導の展開に当たっては、教師と児童生徒とのふれ合いの緊密さを生かし、一人一人の能力・適性に応じた指導を推進する。
1 へき地意識の打破
へき地の子どもは「学習意欲がない」「積極性がない」など、宿命的に考えがちであるが、可能性を秘めた子どもたちである。教師の熱意と個を生かす指導法の開発によって、一人一人の子どもの可能性を最大限に伸ばす努力が大切である。
2 主体的学習態度の育成
少人数の学級では順位が固定し、競争心が乏しいといわれる。しかし、お互いの競争心をあおる指導の在り方では、根本的な解決にならない。子ども自信が学習の目標をもち、自分の力を高めていく努力によって目標は達成される。教師は児童生徒に自分の目標をつかませ、自分の記録を更新する喜びを得る学習態度を育てることが大切である。
3 小集団の良さを生かす指導
少人数では集団思考が困難であるといわれるが、家族的な雰囲気の上で、個人の存在価値が認められ、個人の責任が自覚される。集団思考でより高い考えを生み出すことも大事であるが、児童生徒一人一人が集団の一員としての意識をもち、他を認め、率直に意見を述べたり、聞く態度を伸ばすことが大切である。
4 教育機器の活用
学習指導における教育機器の活用は、児童生徒の興味、関心を高め、理解を助けるのに大きな役割を果たす。したがって、視聴覚教材の利用、教材教具の自作、機器の活用を積極的に行い、学習の意欲や経験の拡大、授業の効率化が図られるようにする。
5 指導の継続
苦労して築いた教育が、教師の交替によって、中断されることが多い。指導記録の累積を図り、継続的な指導が展開できるようにすることが大切である。
九、体育・保健・安全指導の充実
小学校体育の指導は適切な運動の実践によって基本的な技能を養い、力いっぱい運動して活動欲求を満たし、運動の楽しさを児童一人一人のものとすることである。
中学校においては、生徒の能力に応じて運動の楽しさや喜びを体得させ、生涯にわたって運動を積極的に実践し、健康の増進と体力の向上を図り、明るく豊かな生活を営む態度を育てるようにすることが必要である。
保健・安全指導は、主として学級指導、ホームルーム、学校行事、児童(生徒)活動等の特別活動や日常の学校生活における指導で取り扱い、それぞれのねらいを明確におさえて指導することが大切である。
更に体育の指導を充実させるためには、地域の特性、学校や児童生徒の実態を把握し、運動能力と体力の向上を図る処方を明らかにしておくことが大切である。また、保健・安全指導では、学級指導を中心に児童生徒の発達段階に応じて基礎的・基本的事項を確実に理解し、自主的に健康で安全な生活を実践できる能力と態度を育てることが大切である。
(一) 体育指導の充実
学校における体育に関する指導は、学校の教育活動全体を通じて適切に行うことはもとより、その中心的役割は教科体育、保健体育の授業であり、その指導の充実強化を図ることが大切である。
1) 運動の特性を明らかにした指導
それぞれの運動の特性に応じた楽しさを体験させ学習意欲を高めながら、一人一人が自らの課題に立ち向っていくよう指導することが大切である。
2) 共通理解に基づく計画的、継続的指導
「学校における体育に関する指導」の基本方針を明確にし、全教職員の共通理解のもとにスポーツテストの結果等を十分に分析活用し、各学校の実態及び問題点を明らかにして指導することが必要である。
3) 特別活動との関連を図る指導
クラブ活動、部活動の体育的活動、体育的行事、保健・安全的行事、学級指導、ホームルームなどの教育活動との有機的な関連を図り、効果的な指導が適切に行われるようにする。
4) 日常生活に体育的活動の定着を図る指導