教育福島0093号(1984年(S59)08月)-021page
活動を図る。
エ 「共同研修の時間」の運営に当たっては、効率化を図る工夫をする。
○研修内容を事前に周知させておく。
○教師一人ひとりの問題点をできるだけ集約し、研修の方向づけを明確にする。
○記録の累積に努める。
○研修時間を励行する。
○研究主任、学年主任、教科主任等のリーダーシップが発揮できるようにする。
研修の充実を図るためには、以上のほかに、研修の場と機会を広く求めていく必要がある。また、それぞれの学校の実情に合った創意工夫が求められる。
十一、幼稚園教育の充実
(一) 指導計画の再検討
1 経験や活動の選択
ねらいを達成するために、どんな経験や活動を選び、どのように配列したら良いかが最も苦労するところである。幼児が経験や活動を心から楽しみながら「経験や活動」の仕方を身に付けさせる必要がある。そのためには、経験や活動の量、質ともに幼児に適したものを選択し、一日の生活を充実させなければならない。例えば、同じ遊びでも、自分一人で経験することも、集団で経験することも両方が必要である。このようなことを押さえ、具体的に経験や活動を選択するに当たっては、次の点に留意する必要がある。
ア 幼児に活動を十分満足させるため、経験や活動の種類が多すぎ盛りだくさんにならぬように工夫する。
イ 活動の内容が幼児の発達に即したものを選択する。
ウ 幼児の興味や欲求に合致させ、自発的な活動が意欲的に展開できるようにする。
エ 一日の活動に、流れとリズムをもたせ、断片的活動にならないよう配慮する。
オ 同質の経験を重ねて与え、幼児の活動意欲を失わせないようにする。
カ 幼児の興味ばかりに流され、教師のねらいに相反した活動にならないよう留意する。
2 経験や活動の時間配分
幼児に望ましい経験や活動を展開させるためには、教師はあらかじめ、幼児が集中できる時間はどのくらいか、どのくらいの時間活動すれば満足するかを知る必要がある。特にその活動時間は、個々によって違ってくる。従って活動の始まりが、どのような状態で始まり、どの程度盛りあがり、どの様な状態で興味が次へ移るかということを知って目安を立てる必要がある。即ち、時間配分とは、幼児の心身の発達等によって一日の活動に調和と変化を持たせ、よりよい配列をするために幼児の活動に対応して考えるべきものである。
3 園環境の見直し
園環境を見直す場合には、保育室内外の施設・設備にとどまらず教材・教具や室内の掲示物、教師や友達などの人的環境、更に動植物の飼育栽培など広い視点からみて、それらが教師の目指している保育とどのように関係しているかという関連でとらえ直す必要がある。見直しの視点としては、
○ 幼児の動きや施設・設備の使われ方からみて改善はないか。
○ 幼児が自主的に取り組める魅力ある環境構成になっているか。
○ 教材・教具が保育の目標・内容・計画からみて必要性を考えた上で対応しているか。
○ 個の遊び、仲間との遊びなどの変化に伴い、教材・教具の種類・規格・数量などの対応はどうか。
○ 互いに模倣をし伝え合い、共感し合い、認め合い、励まし合える友達関係になっているか。
○ 幼児を見守り励まし、共感し賞揚を与え援助する教師になっているか。
○ モデルとしての教師の人間性、教師間の連携、活動を見る教師の目は確かであるか。
(二) 指導過程、指導後の反省・評価
指導を行う場合には、その過程で、絶えず評価をしながら指導方法を改善していく必要がある。教師のねらったことや準備したことと幼児のやりたいこと、やっていることがずれている場合、急いでその原因を探り、訂正していくことが大切である。また、指導後反省・評価を行うが、幼児が活発だったかだけでなく、次のような観点を決めて評価する必要がある。
○ ねらいは適切だったか。
○ ねらいを達成するための経験や活動は適切だったか。
○ 経験や活動の選択・配列は適切であったか。
○ 経験や活動を行うための環境構成や、教師の助言や助力は適切であったか。
○ 幼児の友達関係に対する配慮はどうか。
〇一人一人の幼児に変容が見られたか。
などを幼児の活動の仕方とてらし合わせて検討する。