教育福島0093号(1984年(S59)08月)-024page

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場面に応じてうまく歯車がかみ合い、小さい者は小さいなりに、上下の関係が成り立ち、チームワークがよくいっていた。家族的な雰囲気の中でみんなが一緒になって身体を使って働くことが自然と身についたように思った。改めて合同保育の重要性・利点の見直しができて、とても勉強になった。

昨年は、校舎裏の畑に「キュウリ」「とうもろこし」「二十日大根」の種まきをした。何度もバケツいっぱいの水運びに精をだす。

中庭や校庭の花壇には、自分たちで咲かせた花が「みんなに見てほしい」とばかりに咲きそろっている。

小さな手に握った数本の草を得意になって見せ「せんせい、こんなに草むしったよ」と叫ぶ顔は、汗とほこりにまみれてまっくろ。子供の手ごたえがぐんとくる。

今年もまた、広い畑には「ジャガイモ、人参」「枝豆」「カボチャ」が所狭しとまかれている。

「ジャガイモ」をまく時などは大さわぎだ。「カレーライスできんだぞ」とN男。「ちがうよ、せんせいつくってくれんだぞ」とY男。「こうやってまくんだよ」と家が農家のT子。「家ではこうやってまいたよ」と、これも農家のA子。もうどちらが教えられているのかわからない。

その時の表情のなんとすばらしいこと。体験を通して伸びる子どもは生き生きして、まぶしいほどだ。

思わぬ事にもぶつかった。蒸し暑い日だった。言語障害を持つM子が、裏の畑に行く途中、突然ころぶようにして意識を失ってしまった。初めてぶつかった事態だけに私は倒れたM子の前で、ただおろおろしていた。すると同部落のS男とA子が落ち着いた声で、「せんせい、M子ちゃんは、すこしねむるとなおるんだよ」「うちでもそうなんだよ」と家で一緒に遊んでいた時のことを話してくれた。

保育室まで二人がついてきた。「せんせい、M子ちゃんよくなるまでみてっからいってもいいよ」子供の言葉には私を安どさせる不思議なひびきがあった。子どもたちの思いやりにすっかり自信をとりもどした大人の私はおかしかったが、またむしょうにうれしい気持ちになったのも確かだ。子どもってふしぎなものだ。

夏が近い。プールのシャワーで水遊びをしていると、プールを指さして、「こんど、ぼくたち一年生になつと入んだかんな」ともう一年・二年後の夏を思い浮かべている。空容器で作った水鉄砲をはだかん坊になった身体にかけ合いながら、校庭狭しと散らばってはしゃぎまわる。

今年は、畑作りや消毒の手伝いをしてくれたお家の方も呼んで、盛大に収穫祭ができそうだ。そしてみんなで味わおう。

三年前の不安がすっかり消え、今では楽しい活動の場がぐっと広くなっていくのを感じる。

「子供たちは一枚のまっしろな画用紙」。しみもついていなければ、線も引いていない。そのまっしろな画用紙に自分で思うさま絵がかける手助けを一番先にしてあげるのが私たちなのだ。

虹のようなすてきな色を、一人一人にあげたい。そして自分の色を大事にする子に育ってくれるようにとしみじみ思う。

(猪苗代町立月輪幼稚園教諭)

 

T先生へ

村越久子

 

先日はごちそうさま。

 

先日はごちそうさま。

学年便り、少しは役に立ったでしょうか。今年、ちょっぴりがんばっている訳は、「初めての入学で、不安が多く、学年便りを沢山出して欲しい」の要望のためです。

「一年生がかわいくて、かわいくて」

「叱られても、すぐ先生と寄ってくるんですね」

「一せいに、何でも話すんですね」

「自分ではかみくだいて話しているつもりでも……」

「四十五分間どうして興味を持続させるか」

いろいろな貴女の悩みも分かります。しかし、十七年めにして初めて一年生を担任したという貴女の新鮮さと夢は、すでにくり返し担任をしてマンネリ化している私の胸に、鋭い矢として、突き刺さってきました。

十二年前、わが家の長男が入学した四月、「ぬれた手ではダメ」と時間割表を宝物のように渡され、大衝撃を受けたことも薄れかけている自分。感動にしろ、貴女のように強烈にはこみ上げてこない自分に気づき、貴女に気取られないようにしているのが、精いっぱいでした。

「鉛筆の持ち方は、本当になおさなければ」の父兄の質問にどきりとさせられた由。私は、正しく持てないと、きれいに書けない。不必要な力が入るので、寿命にまで影響するとか、と話すことにしています。(もっとも、これは書写の研究で得たものです)

「子どもに負けたくない」と本気で考え「子どもに負けるな」と自分に言い聞かせている、という貴女に頭が下がります。おはようの挨拶から、運動着のたたみ方、くつの入れ方、発表の言葉の使い方、集中しての聞き方など教えることは沢山ありますね。農村の子供達には話し方の高揚から顔の表情にまで気を配ることにしています。

効果的な学習を願うなら、当たり前

 

 

 


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