教育福島0093号(1984年(S59)08月)-032page

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わたしの研究実践〔1〕

 

実践的意欲を育てる道徳教育

 

郡山市立安積第小学校 古川将男

 

一、研究の動機

 

児童の生活態度を見ると、生活習慣や基本的行動様式をはじめ、望ましい行動が身についていないことが多い。

道徳教育や道徳の授業では、児童がよりょく生きようとする力を伸ばすことがねらいとされ、実践意欲を育てることに力が入れられている。

児童の生活態度を望ましいものにし、実践意欲を育てる指導がまたれるが、指導の効果があまりあがっていない現状である。

例えば、次のような問題点がある。

○ 現在の道徳教育は道徳の授業中心で日常生活面の指導まで及ばない。

○ 行動面の指導は「しつけ」の指導で、道徳の指導ではないという受けとめ方が強い。

○ 児童の生活体験が乏しく、道徳的価値のとらえ方が受身で実践意欲が育ちにくい、など。

これらの問題に目を向け解決にせまるため、標記の主題に取り組んだ。

 

二、解決の見通し

 

実践意欲を育てるには、道徳の授業のほかに日常生活での行動の場を通した指導も必要であるが、殆んど配慮されていないのが現状である。

そこで、行動面の指導にも目を向けて、授業では道徳意識を高め道徳的行動の大切さに気づかせ、日常生活の中でも、児童自らに道徳的行動の必要性をとらえさせれば、実践意欲は高まっていくものと考えられる。

実践意欲を育てる指導の方法を次のように考えた。

(1) 道徳の時間の指導

授業では本時のねらいの価値にせまりながら望ましい生き方や行動を納得させ、その必要性に目ざめさせる。

また、だれでもが持つ「よい生き方をしたい」という欲求を起こさせるために、行動の因果関係に気づかせる。

更に、自分の行動をふりかえり、もっとよくしなければならない面があることをとらえられるようにする。

(2) 行動の場を通した指導

「なすことによって学ぶ」指導の方法である。

学校生活は道徳の実践の場でもある。児童の一つ一つの行動を意欲的なものにするため、真剣に取り組めるようにする。

つねに教師は児童と行動を共にし望ましい姿を見せたり、取り組み方をわからせたりし、児童にやればできる、やればよくなるという気持ちや自信を育てていく。

(3) 説諭による指導

児童の行動をみると、いじわるやおせっかいによるトラブル、軽卒な判断による失敗が多い。

そのような行動があったとき、教師はその結果をもとにどちらが悪いと叱るのではなく、どんな行動に原因があったのかに気づかせ、望ましい行動のあり方を示してやる。

なお、それぞれの指導の機会を関連的に図1のようにおさえた。

 

図1 指導の関連図

三、研究計画(略)

 

三、研究計画(略)

 

四、研究の経過

 

(1) 事前にとらえたこと

目の前の児童にどんな力をつけ、どんなことができる児童を育てるか、児童像や実態をとらえ指導の目安にした。

1) 児童像の把握

学校、学年、学級の教育目標をもとにとらえ、次の二点を吟味した。

○ 児童の発達段階の特質

○ 地域の特性による生活の実態

 

 

 


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