教育福島0093号(1984年(S59)08月)-048page

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美術館だより−−−−−

 

開館記念展第二部

「ミロ回顧展」予告

 

県立美術館では、開館記念展第二部として「ミロ回顧展」を開催します。

 

ジョアン・ミロは、ピカソやマチスなどと並んで、二〇世紀の最も重要な画家のひとりです。

ミロは一八九三年、スペインのバルセロナ近くに生まれました。はじめフォービスムやキュビスムの影響を強く受け、スペイン人特有の夢と詩情の漂うような作品を描いた後、次第にシュルレアリスムの方向に転じ、クレーの刺激などもとりいれて独自の作風を形成しました。

きわめて高い造型性が感じられるものからユーモラスな作品など絵画ばかりでなく版画・彫刻・陶器などにおいても多才な活躍を示しました。一九七〇年には、来日して大阪万国博覧会のために陶板による大壁画を制作し、わが国でも多くの人々から親しまれていましたが、昨年十二月二十五日惜しくも他界してしまいました。

本展は、初期バルセロナ時代から晩年のマジョルカ島での制作に至るミロの作品−−絵画・版画・彫刻・陶器など一七〇点余−−を展観する大規模なミロ回顧展です。またミロの親友の写真家カタラ・ロカ氏によるアトリエでのミロの写真をあわせて展示し、さらにミロ追悼コーナーを設けて、ミロ芸術をいっそう身近に感じられる企画となっています。

会期 九月一日土)〜九月三〇日日)

午前九時三〇分〜午後五時

(入館は四時三〇分まで)

月曜休館(祝日の場合はその翌日)

観覧料 一般・大学生 八○○円 高校生 六〇〇円 小・中学生 四〇〇円 (団体割引有り)

 

所蔵作品紹介1)

 

「ブルターニュの子供」

ポール・ゴーギャン作

 

ゴーギャン(一八四八〜一九〇三)は、株式仲買店に勤務するかたわら、趣味として絵を描き始めました。ピサロと知りあい、はじめは印象派風の絵を描きました。三五歳の時、絵画に専念するため職をすてて制作に打ち込みます。しかし思うように絵は売れず、ついには家族とも別れてしまいます。一時アルルでゴッホと共同生活を試みますが、これも破局を迎えます。文明社会を嫌ったゴーギャンは、未開の社会に対する憧れから一八九一年タヒチに渡りました。一八九三年一時フランスに帰国しましたが、一年後再びヨーロッパを後にし、タヒチ島のちにドミニカ島に住み、絵画・木版画・彫刻などを制作しました。

表紙裏下段の作品は、タヒチを訪れる前のブルターニュ時代のもので、印象派から離れて平面的な彩色による装飾的な画風を確立しはじめる時期の特徴がよく表われた一点です。

(制作一八八九年、紙・水彩・パステル、二六×三七p)

 

ミロの作品「女」

ミロの作品「女」

 

アトリエのミロ

アトリエのミロ

 

 

 


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