教育福島0095号(1984年(S59)10月)-026page

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表5 生活単元「遠足」の指導計画例

表5 生活単元「遠足」の指導計画例

 

作業学習の指導を進めるに当っては、次の点に留意したい。

○ 生徒ができる限り、目標意識や課題意識をもって取り組み、また成就感が得られるように配慮すること。

○ 単調な機械的な作業活動に終始する作業学習でなく、生徒の生活力を高める、豊かな内容を含む作業学習にすること。

○ 障害の多様な生徒の実態に応じられる作業内容を考慮すると共に、生徒の実態に応じた段階的な指導が進められるようにすること。

(二) 教科別、領域別の指導

1) 教科別の指導

各教科の内容については、前述した日常生活の指導、生活単元学習、作業学習など、領域・教科を合わせた指導の形態でも指導されるが、内容によっては、各教科別の時間を設定して、教科別の指導の形態で指導される場合もある。

一般的には、児童生徒の障害が重く未発達の場合は、教科別の指導は適用しにくいが、児童生徒の障害が比較的軽く、発達が進んでいる場合は、教科別の指導が適用しやすい。

各教科のうち、音楽、図画工作(美術)、体育(保健体育)等は、児童生徒の発達からすると、国語、算数(数学)等の知的教科より、比較的早くから、教科ごとに指導が進めやすい、と言われている。

教科別の指導の進め方には、関連学習、ドリル学習、系統学習等がある。

すなわち、関連学習は、生活単元学習等と関連づけて、それらを補足したり、発展的に扱ったりする学習である。

ドリル学習は、個々の能力に応じた読み、書き、計算などを、反復練習させる学習であるが、習得したことを日常生活に適用できるようにする配慮が必要である。

また、系統学習は、教科の内容で、特に系統的に学習を進めないと身にっかない内容について、段階的に学習させる方法である。これを進めるには、個々の実態に即した課題を選定して進めるようにすると共に、前と同じように、習得したことを日常生活に適用できるようにする配慮が必要である。

2) 領域別の指導

道徳、特別活動、養護・訓練など、領域別に時間を設けて指導を行うのが領域別の指導である。

このうち、道徳の指導については、精神薄弱養護学校では、領域別の指導の形態で進めず、日常生活の指導、生活単元学習、作業学習など、領域・教科を合わせた指導の中で扱うことが望ましい。

特別活動についても、内容の多くは日常生活の指導や生活単元学習の中で指導されるが、クラブ活動、児童会活動(生徒会活動)等については、特別活動の時間を設けて指導することが多い。

養護・訓練の指導については、まず個々の児童生徒の障害の実態を明らかにし、それに応じた指導内容を押さえることが大切である。

次に、指導の方法や指導の見通しについて検討を加え、個々に応じて日常生活の指導、生活単元学習、作業学習、教科別の指導等の中で養護・訓練的な配慮をしたり、あるいは養護・訓練の時間を設けて指導したりなど、適切な指導場面を設定して進めることが大切である。

なお、指導の対象となる児童生徒の障害の実態を的確に把握し、適切な指導の方法を具体化するためには、専門家や相談機関等の協力を得ることも大切である。

 

〔参考文献〕

○ 盲学校、聾学校及び養護学校学習指導要領 昭和五十四年 文部省

○ 特殊教育諸学校学習指導要領解説−養護学校(精神薄弱教育)編−昭和五十八年 文部省 東山書房

○ 精神薄弱養護学校・特殊学級教育課程編成の手びき 昭和五十八年福島県教育委員会

 

 

 


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