教育福島0095号(1984年(S59)10月)-038page

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自ら求めて問題を見い出し、追究しようとする子どもの育成

 

いわき市立郷ケ丘小学校

 

本校の二年間にわたる研究のねらいは、受動的な児童の学習の構えを、主体的な構えに変容させることである。国語科を主対象に、その成果を他教科へも波及すべく、(1)教育課程の改善(2)授業の組織化と指導法の改善・充実を中核にすえた実践の内容を述べる。

 

一、研究の視点及び方針

 

(一) 研究の視点

(1) 児童が主体的・能動的に学習活動に取り組める年間指導計画の改善

(2) 授業の中に一人で考え、自力で解決を試みる機会と場の設定。

(3) 児童の能力が十分に出し切れる授業の組織化と学習指導法の改善充実

(二) 研究の方針

(1) 教師自らの授業に対する意識の変革と指導力の向上を目指す。

(2) 児童の欠落部分の補充のみでなく、すぐれた面の伸長も図る。

(3) 国語科での成果を「他教科・他領域」へ波及進展させる。

 

二、研究内容

 

(一) 年間指導計画の検討・改善

(1) 学習指導要領の目標・内容の系統性の把握

(2) 研究実践の成果を取り入れた年間指導計画の自校化

(二) 学習指導法の工夫と改善

(1) 国語科(文学教材)を主対象に、「ひとり学習」を重視し、喜びや成就感が味わえる授業の創造

(2) 学び方の育成(読みにおける基本的な指導過程の設定)

(3) 教師の制御を少なくし、児童の主体的な学習を重視した授業の質的改善

(三) 教育課程の見直しと改善

 

三、研究実践の内容

 

(一) 年間指導計画の作成

(1) 改善の視点

1)単元の目標や指導内容を分析し、教材を構造的に把握する。

2)指導目標を、児童が確実に到達でき、また、具体的な行動を通して目指せるものにする。

3)教材の中心的考えや基礎的・基本的な事項を的確におさえる。

4)一時間の中で中心となる活動を明確におさえ、活動や思考の時間を十分確保する。

5)重点教材への指導時数を考慮する。

(2) 年間指導計画の実際

特に、単元の学習指導計画に焦点を当てて述べる。 (資料1)

1)重点教材(文学教材)については単元の趣旨及び教材の構成、学習指導計画を記述した。

2)単元の趣旨には、教材観、指導観、指導の重点を記述した。

3)指導の重点は、一単元の指導計画の中で、「初発の感想」「学習課題の設定」「ひとり学習」「相互学習」「ノートの書き方」「主題に迫る感想」の全項目を指導すべきものであるが、児童の実態や教育目標などとのかかわりから、重点的に定着を図る意味で、四月単元より順次一項目ずつ取りあげた。

4)学習活動・内容の欄は、単位時間ごとに主活動・内容を表した。特に「ひとり学習」の時間を重視し、児童がじっくり思考・活動できる時間を確保し、展開の中に位置付けられ

るようにした。

5)主体的な読みを深めるとともに、基礎的・基本的事項をしっかりと身につけさせるために、基本的な技能や重要語句を明示した。

6)取り扱うべき語句の欄には、小学校で一回しか出てこない語句、初出の語句、重要語句を記述し、各単位時間の学習と関連させて指導できるようにした。

 

資料1 年間指導計画例(一部)

語句の欄の◎6年間で1回、○初出重要、・重要

語句の欄の◎6年間で1回、○初出重要、・重要

 

(二) 学習指導法の工夫と改善

(1) 改善の視点

1)一人一人の児童を主体的に学習に取り組ませる。

2)手習集団の中で、互いに認め合い協力し合って学習させる。

 

 

 


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