教育福島0095号(1984年(S59)10月)-044page

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わたしの研究実践〔1〕

 

生きた生徒指導をめざして

只見町立朝日小学校教諭斉藤修一(現鮫川村立鮫川小学校)

 

一、研究の動機

毎日といっていいほど、マスコミで非行、自殺、校内暴力などの様々な教育問題が取り上げられている。そのたびに、「生徒指導の充実」が強調されていながら、なかなか効果が見られない。

それは、生徒指導の重要性が叫ばれながらも、ともすると計画だけの、あるいは話し合いだけのものになってしまっているからではないだろうか。

そこで、こうした現状を脱皮し、生きて児童に働きかける生徒指導を学校総ぐるみでつくりだせないかと考え、標記の主題に取り組んだのである。

 

二、解決の見通し

生きた生徒指導を支える五条件は、

(一) 一人一人の児童すべてを対象とした生徒指導

(二) 学校生活のすべてにわたって、日常的に行なわれる生徒指導

(三)偶然的無組織的でなく、計画的組織的な生徒指導

(四) 教師一人一人が、それぞれの場で責任を果たす生徒指導

(五) 全職員で協力推進する生徒指導である。

つまり、すべての児童に、日常的に、計画的に、一人一人の教師が、全職員が生徒指導を行なえば生きたものになると考えた。そこで、後述のように共通理解、意識づくり、日常化、地域との連携の四点で工夫しようとしたのでである。

 

三、研究計画(略)三年継続研究

 

四、研究の概要

(一) 共通理解と研修の場の工夫

(1)校内生徒指導協議会を有効に

生徒指導において、共通理解と、教師が変わり児童を変えるための研修は最大の条件である。そこで、この協議会に、次の内容を含ませた。

1)研修

ア、本校の全体計画を生かす研修

イ、生徒指導への理解を深めるための研修

例、教師−児童関係の歴史的変遷。相談的な教師の理論と実践など

ウ、教育情勢を考える研修

例、NHK教育TV「教師の時間」のVTRで校内暴力の実態と対策についてなど

エ、自らを高めあう研修

例、教師自身の自我構造分析、人物画での諸調査、お互いの日頃の悩みや実践の交換など

2)各部月重点目標の確認

生徒指導は、非行対策ではない。すべてにわたって、日常的に機能できるよう五部門を設定し、共通理解が図れるように、しかも、児童にとってもわかり易いように指導事項を可能な限り具体化していった。

3)基本的行動様式の定着化の手だて

解決すべき問題は、多くありながらどれをとってもなかなか解決しにくいというむずかしさがある。そこで、協議会で学期ごとの重点目標を設定し指導の焦点化を図った。

4)児童理解

事例研究や教育相談実施の反省をしたり、ソシオグラムや意識調査をもとに話し合い児童理解に努めた。

(2)火曜日の定例打ち合わせ会の活用

協議会を側面からバックアップする位置づけで重要である。ここでは当面する問題の解決策を話し合い共通理解を図った。

(3)生徒指導部だよりの発行

全職員の考えをアンケートで聞いたり、指導の焦点化をお願いしたり、お知らせもあったりと広範囲の内容を持っている「だより」である。共通理解のための根回しとしての役目も期待したのである。

(二) すべての教師が生徒指導担当という意識づくりの工夫

(1)立場を明確に

それぞれの教師が、次のような立場で全校や学級を対象に活動できるようにする。そのためには、組織上、立場を明確にするのみでなく、具体的に活動できる場を保障することである。

1)各部門の主任

月の各部の目標を明確にし、全児童が達成できるよう随時指導したり、

 

 

 


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